テレビドラマ「半沢直樹」の黒崎役で、今や全国区の人気者となった歌舞伎俳優の片岡愛之助さん。作家・林真理子氏との対談で、大阪在住で移動は常にマイカーなど、素顔に迫った。

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林:お住いは東京ですか。

片岡:僕はいまも大阪に住んでいます。だから東京へ来るとホテルやウィークリーマンション暮らしなんですよ。出張している感じです。

林:ラブさまがウィークリーマンションなんて、そんな。似合いませんわよ。

片岡:どこでもいいんですよ。寝るだけなんで。僕は料理もなんにもできない人間なんで、ホテルのほうが楽ですね。掃除もしてくれるじゃないですか。東京は嫌いじゃないし、ほとんどこっちでしか仕事をしていなくて、大阪は年に2カ月しかいないんですけど、上方の役者として、京阪神のどこかに居をかまえて芝居をしていきたいというのが僕のこだわりなんです。

林:なるほど。東京に向かうときは、新幹線に乗っているあいだに気持ちを切り替えながら……。

片岡:新幹線は乗らないんですよ。

林:飛行機ですか。

片岡:飛行機も乗らないです。車で行きます。自分で運転しながら。

林:えっ、ほんとに? 車種はなんですか。ポルシェとかスポーツカーに乗っていそうですけど。

片岡:いまはポルシェのカイエンという四駆に乗っています。

林:こんなに人気者になって忙しいんだから、新幹線で寝ながら行ったほうがいいのに。

 
片岡:いやいや、そのあいだにセリフの練習したり、いろいろと。僕、10年以上一日も休みをとってなくて、旅行に行けないので、旅行気分であっちこっちサービスエリアに寄りながら来るんです。そうすると意外とあっという間なんですよ。

林:サービスエリアなんかに寄ったら、おばちゃんたちすごいんじゃないですか。

片岡:大パニックになるんですよね(笑)。ウワーッと来て、いろんなものをくれるんですけど、一人でそんなにいっぱい食べられないし。

林:でも、10年以上もお休みをとってないなんて、信じられないですよ。

片岡:この前は、明治期建設の、近畿圏内に残る最古の芝居小屋といわれる栄楽館というところで1週間ぐらい公演しまして、次の日に映画がクランクインして、いま撮っている最中なんです。めっちゃスケジュールがタイトで、6日間ぐらいで撮り上げるんで、だからこの何日間、寝てないんです。きのうも夜中まで撮ってましたし。

林:すみません、そんなお忙しいときに来ていただいて。お体、ほんとに気をつけてくださいね。

片岡:大丈夫です。でもありがたいことです、本当に。

林:でも、こんなに忙しいのに、しっかり恋愛はしてるんですよね(笑)。

片岡:だからいつもフラれるんです。最後は「私と仕事とどっちが大事?」となって、「じゃ、ヒマな人とつき合ってください」(笑)。

林:それ、「フラれる」とは言いませんよ(笑)。

週刊朝日  2014年1月3・10日号