多モメした参院特別委員会 (c)朝日新聞社 @@写禁
多モメした参院特別委員会 (c)朝日新聞社 @@写禁
国会を取り囲んだデモ (c)朝日新聞社 @@写禁
国会を取り囲んだデモ (c)朝日新聞社 @@写禁

 ついに特定秘密保護法が12月6日深夜、成立した。世論調査の結果でも「慎重に審議を尽くせ」との声が多数にもかかわらず、「年はまたがない」という強い意志のもと、安倍政権は強行突破。採決後には、自民党石破茂幹事長(56)から差し入れのアイスクリームが届き、居合わせた幹部らで簡単ながら甘い甘い祝勝会が始まった。

 政府、自民党にとってはまさに思惑どおりの国会運営ではあったが、弛緩しきった雰囲気も漂っていた。

 まずは石破幹事長がブログで市民団体のデモを「テロ行為」と同一視。マスコミから集中砲火を浴びると、「何とかしてくれないか」と周囲に懇願する始末。

 委員会採決当日には、委員会室の応援席に座った1年生議員たちが、緊張感のかけらもなく談笑。開会前には女性議員が答弁席に立ち答弁のまねごとをし、傍聴席から「遊びでやってるのか」との声が漏れた。

 また計算どおりとはいえ、同じ党内からも「無理をしすぎ」(閣僚経験者)との声が出る国会運営で、盤石と思われてきた政権基盤が傷ついたのは確かだ。

「成長戦略実行国会」と安倍首相自らが呼びながら、今国会でのトルコ、UAEとの原子力協定の承認は時間切れ。原発輪出は安倍政権が成長戦略の柱としていただけに、「特定秘密保護法案に政治的パワーを使いすぎた。思わぬ誤算」と自民党幹部は振り返る。

 そして6日、内閣不信任案や問責決議案が飛び交った後に成立。この幹部は「強行イメージがますます増幅して、内閣支持率は5、6ポイント下がるだろう」とも口にした。今回の国会運営が政権の体力をそぎ落としたのは確実だろう。

 こうした強引な国会運営は、第1次安倍政権の命取りにもなった。姿見に映る第2次安倍政権は、そのころと相似形になっている。

週刊朝日 2013年12月20日号