「スーパーナンペイ事件」が18年ぶりに進展――と思いきや、またも「肩すかし」に終わりそうだ。

 1995年7月、東京・八王子のスーパーナンペイに押し入った犯人が、高校生ら3人の女性店員の頭を銃で撃ち抜き、殺害した凶悪未解決事件。店の金庫の鍵に銃弾を撃ち込んだが、なにも取らずに逃走するなど事件には謎が多い。

 警視庁は11月15日、犯人を知るとされる中国人の男をカナダから移送し、事情聴取を始めた。この男は何亮(かりょう)容疑者(43)で、逮捕容疑は2002年4月に日本人名義の偽造パスポートで香港に出国したという“別件”だった。

「ナンペイ事件で何が浮上したきっかけは、中国で死刑判決(麻薬密輸罪)を受けていた武田輝夫が08年ごろ、『事件の犯人を知っている』と日本大使館にタレ込んだことでした。武田の延命工作という疑いもありましたが、09年9月に中国へ捜査員を派遣して本人から事情聴取。『昔、一緒に仕事をした何という中国人の情報屋が犯人を知っている』という伝聞の伝聞情報を得ました」(警視庁捜査一課関係者)

 しかし、その武田氏(当時67)が10年4月にあっけなく死刑執行され、捜査は頓挫した。だが、「(情報を)つぶすだけでも、つぶす」という捜査一課の執念で、何容疑者がカナダにいることを突き止めた。警視庁が旅券法違反の容疑以外で逮捕・起訴しないことをカナダ側に確約した上で、日本への移送にこぎつけたのだ。

 ところが何容疑者はナンペイ事件について「なにも知らない。時間がたっているのでわからない」とノラリクラリ。

 これまで数々の「真犯人」が、捜査線上に浮かんでは消えていった。発生時から事件の捜査を指揮した元警視庁幹部が言う。

「まだつぶせていなかったのが、襲われたスーパーの店長が当時付き合っていた、中国人ホステスのルート。このホステスは何度も店に来ており、売上金を入れる金庫の場所も知っていて、事件直後に姿を消した。何が、このホステスにつながる中国人窃盗団の情報を知っているのではないか、と期待したのですが……」

 またも迷宮という袋小路に入らないことを祈るばかりだ。

週刊朝日 2013年12月6日号