巷はアベノミクスで盛りあがっているが、どうも球界は真逆らしい。今年のストーブリーグで注目を集めるのは何と経費削減。

 今オフの台風の目と言えば、やはり落合博満・中日新GMだろう。その強烈な“コストカッター”ぶりは大きな話題を呼んでいる。中日に16年在籍、3月のWBCでも活躍した井端弘和を退団させて1.9億円を浮かせると、エースの吉見一起は1.1億円減、4番の和田一浩も8千万円減と容赦のないダウン査定が相次いだ。

 野球協約では年俸1億円超の選手なら減額率が40%まで、1億以下は25%までと定めている。ただし本人が同意すれば問題はなく、現役最年長ピッチャーの山本昌は33%ダウンの4千万円でサイン。井端には88%ダウンの2300万円を提示したともいわれる。報道陣に落合GMは「Bクラスの責任は選手にもある」と答えたという。

 まさに中日では大粛清の嵐が吹き荒れたわけだが、これを「“オレ流”の信賞必罰」と見るのは野球ライターの京都純典(みやこすみのり)氏だ。

「4位に終わった選手にカツを入れたのでしょうし、もともと中日の査定は甘いと言われていました。落合GMが厳密な基準を導入したと考えるべきです」

 だが「あまりにも下げ幅が大きすぎる」と懸念する声も聞こえてくる。

「選手も表面的には納得していますが、実際は相当に動揺しているんです。意識改革に成功して来季が順調なら文句は出ないでしょうが、低迷するとチームが崩壊する危険性もはらんでいます」(他球団OB)

週刊朝日  2013年11月29日号