宮沢りえと井上真央が妙にイライラしているという会話法 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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宮沢りえと井上真央が妙にイライラしているという会話法

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週刊朝日#古田新太

 相手に的外れな返答をされたり、うまく話がかみあわなかったり。誰もがそんな会話の“イライラ”を経験したことがあるだろう。俳優の古田新太さんはそのイライラさせる会話がマイブームだという。

*  *  *
「俺もさぁ、あんまり長生きできねえんじゃねえかなって思ってね」。45、46歳だろうか、隣に座っていたあんちゃんが、同じ年頃のあんちゃん相手に声高に語りだした。

「そりゃそうだよ」「そりゃそうか」「そりゃそうだよ」「今日は駒沢から来たの」「そうだよ駅からだよ」「駅から」「俺は生き延びるけどな」「生き延びるんだ。生き延びるんだ、凄いね」。何だこりゃ。会話しているようでしてないぞ。凄いな、知らない話を“ビックリ”と“オウム返し”のみで成立させている。いや、させているのか? よく解らない。そして話が飛ぶ飛ぶ!

「で、この間のデートどうなったのよ」「いや彼女がジャニーズのファンだからさ」「ジャニーズ、凄いね。ライブ行ったの!」「行ったよ」「ラララーッて、あの歌いいよね」「知らないけど、いいじゃんいいじゃん」「今日の夜、バカ殿あるね」「バカ殿面白いね、最近見てないけど」「バカ殿面白いよ」「バカ殿嫌いな人いないよ」「嫌いな人いないっしょ」。何なんだ、何の発展もしない、何の結論も出ていない、そしてさほど愉快じゃない。聞いててちょっとイライラしてきた。そうなのだ、オウム返しってちょっとイライラするのだ。あっ、しませんか? だもんで、最近のマイブームなのだ。

 この間のドラマ現場で、おいらと相手役が酔っ払っているシーンの撮影をした時である。台本には会話らしきセリフが書いてあったのだが、もの凄く普通の会話だった。「お前は変わんねーな」「酷い事言うなー」。何だこれ、普通過ぎる。一応コメディなのに。

 そこで監督に相談した。「スイマセン、この一連、全部オウム返しにしませんか」。監督も軽い。「いいっすねー」。そこからは爆笑だった。「いいねー」「いいんだよ」「お前は変わんねーな」「あー、俺は変わんないんだよ」「お前は沖縄で生まれて沖縄で死ぬのか」「あー、俺は沖縄で生まれて沖縄で死ぬって奴だよ」。これは凄い、まったく生産性がない。これこそ酔っ払いである。しかも、セリフを覚える必要がない。

 そしてもう一つ流行っているのが、繰り返しだ。所謂(いわゆる)、逆説を言うと見せかけての強調だ。まぁ、そんな大層なもんではないんだけど。「おいおい、服を着たまま風呂に入る奴はいねーだろ」「いないね、いや、いないね!」「今日、夕方から雨だって言ってたけど、傘いるかな」「いるね、いや、いるね!」と、こうである。やられた方は、かなりイラつくらしい。

 相手の言葉に乗っかる方法もある。「今日の第4レース2-1来るね」「いや、来るね!」。うるさい。まったく頭を使わないで相手をイライラさせる事ができる。あまりに楽しくて、ついついやってしまう。「~だな」「~だね」という言い回しが若干上から目線なもので、余計に馬鹿にした感が出るのであろう。最近、楽屋で宮沢りえちゃんや井上真央ちゃんが「いや、ないね!」などとやって、ゲラゲラしている。

 隣のあんちゃんが「眠くなった」と言い出した。「あっそう眠くなったね」。うそー、眠くなるのは個人の主観でしょ、そこ同調すんの。「帰ろう」「帰ろうか」。仲良しなのかなぁ。ちょっとオウム返しを使うの躇躇(ためら)われてきたな。

週刊朝日 2013年11月29日号


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