安倍首相や進次郎氏ら政府の面々 (c)朝日新聞社 @@写禁
安倍首相や進次郎氏ら政府の面々 (c)朝日新聞社 @@写禁

 東京電力が、分社化を検討していることが判明した。しかし、その裏では国民にツケを回す策謀が蠢いていた。1人の経産官僚と複数の電力・プラントメーカー社員が“情報交換”しているメーリングリストから明らかになった。

 事故を起こした責任については、まるで“他人事”のように語った。

〈上手にやれば、国から資金が投入され、これまでの体制が維持できる。分社化という、マジックいやごまかしですが、早く、進めてゆきたいな。廃炉だとか、除染だとか、おさらばしたい。事故が起こってから、なんでもわが社が悪いというが、わかってない。イチエフ(福島第一原発)がヘマやったことなんだから〉(東電社員C、5月下旬)

〈安倍総理、またもトルコへ外遊の話を聞きかじりました。それほどまでに、原発に入れ込んでもらって、こちらが恐縮するほどですよ〉(東電社員A、9月初旬)

 トップセールスで原発を売り込んだトルコに10月末、今年2度目の訪問をした安倍首相に感謝の意まで示しているのだ。

 事故処理を別会社に押し付け、利益を皮算用しているのだから、まさに「焼け太り」そのものだ。

 11月8日には、東電自身による経営改革案が明らかになった。東電が持ち株会社となり、その下に「発電」「小売り」「送配電」の3部門を社内分社化して位置づけるというものだ。

 当然、「破綻処理」についてはどこにも触れられていないのだが、茂木敏充経産相は、「電力会社が改革を先取りして社内の体制を整えるのは望ましい方向だ」と評価し、あっさり“お墨付き”を与えてしまった。

「東電が今の会社形態でいくことがもう限界なのはわかっている。ただ、安倍さんを含め、われわれが心配しているのは、コアな技術者が数百人規模で他社や海外企業に引っ張られて流出していること。食い止めるには、負の部分をしっかり分けて、ステータスを取り戻してあげないといけない」(安倍首相側近)

 なり振りかまわぬ東電救済に突き進む安倍政権。だが、このままでは、国民にすべてのツケが回される事態になりかねないのだ。

週刊朝日 2013年11月22日号