自民党、日本維新の会など超党派の国会議員で作るカジノ議連が、「解禁」に向けた議員立法を国会にいよいよ提出する。日本の株式市場では「カジノ関連株」が動き始めており実際、関連株の爆騰ぶりは凄まじい。

 年初からの動きを見ると、ラスベガスでカジノゲーム機の製造免許を取得しているコナミの株価は30%の大幅高、そして、米国のカジノで紙幣識別機を販売する日本金銭機械は2.5倍程に跳ね上がっている。

「ゼネコン、ホテル、警備会社まで、恩恵を受ける業種は幅広く、今後も盛り上がるでしょう」(ちばぎん証券の安藤富士男顧問)

 この10年間、構想が出るたび、頓挫してきた「カジノ」に対し、今回はなぜ、こんなに機運が高まっているのか。背景の一つは、安倍政権が、経済政策を実行できる長期安定政権になる可能性が高まったからだ。アベノミクスの成長戦略の目玉として、カジノが熱視線を浴びているという。

「他の成長戦略は絵に描いただが、民間カジノを誘致すれば、莫大な税収が入る」(政府関係者)

 推進派の背中を押しに押しているのが、シンガポールの成功例である。シンガポール政府は2005年、カジノの解禁を決断。それから5年で、カジノを中心にした統合型リゾート施設(IR)を二つもオープンさせた。これが、経済の起爆剤として、効果はテキメンだった。外国人の観光客数が、カジノオープン前の00年は970万人だったが、12年には1440万人と、5割近くも増えたのだ。

 さらに、シンガポールの観光収入は12年に1兆7480億円に達し、09年と比べて約2倍に跳ね上がった。いまや、国内総生産(GDP)の8%を占めている。

 雇用が6万人増えたとの試算もある。

「安倍政権は2030年に訪日する外国人の数を3千万人超にする目標を閣議決定している。シンガポールの成功を見れば、カジノが呼び水になる可能性はある」(元外資系証券アナリスト)

週刊朝日 2013年11月15日号