「女を守る」「彼女を信じる」 痴漢裁判で見えた空疎な男女関係 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「女を守る」「彼女を信じる」 痴漢裁判で見えた空疎な男女関係

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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「好きだよ」と言われたのに無視だよ? いったい何のためのデートだよ! 裁判よりも、デートの内容が気になりはじめる私……。

 さらに、弁護側が苛立つようにカレをこう問いただした時の答えは衝撃だった。

「あなたは○○さんが痴漢をするのを見たんですか?」。カレは答えた。もの凄く堂々と、物事の道理を弁護人に説くような調子で。「見てないっす! でも、自分の彼女が痴漢だって言うんだったら、信じるのが人間というものっす!」

 すっげーなー、若者! 目の前の女に無関心で、会話を楽しまない男でも、「愛する人を信じ、守る」みたいな物語に酔えるんだなっ! というか、そういう物語に簡単に依拠するのが男にとっての恋愛だからこそ、女に冷たくいられるのかもね。

 被告人席に座る男性が一番空しかったと思うが、私も空しかった。「女を守る」「彼女を信じる」という、空疎な言葉で語られる痴漢犯罪と男女関係。守るとか、信じるとか、そんな言葉を男から奪ったら、彼らの恋愛には何が残るんだろう。何もない、そんな気がする。

週刊朝日 2013年11月8日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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