稲盛和夫流「お酒とのつきあい方」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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稲盛和夫流「お酒とのつきあい方」

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週刊朝日#健康

 京セラ・日本航空名誉会長の稲盛和夫氏は、本誌記者とのインタビューでお酒の嗜み方についてこう話す。

――稲盛会長は、お酒は召し上がるのでしょうか?

 お酒は好きで、何でも飲みますよ。今ではビールは1、2杯飲めば十分なんですが、たとえば中華料理なら紹興酒を飲みます。ただ飲むとあまり食べられなくなってしまうのですが。

――お酒の飲み方はどなたかに教わったのですか?

 京セラを立ち上げる際、自宅を抵当に入れて出資してくださった西枝一江さん(故人)は、私が疲れた顔をしていると、「稲盛くん、疲れてるな」と言って、よく祇園に連れていってくれました。まだ京セラが零細企業だった頃です。酒を飲みながら、いつも私は西枝さんに相談に乗ってもらい、お酒の飲み方も教わりました。

――どんな飲み方ですか?

 鹿児島では、先輩にお酌するものでしたので、西枝さんがお酒を飲まれると、すぐに私が注いでいました。その酒を西枝さんが飲み干すと、すぐにまた私が注ぐ。そうしたら、「酒は嗜んで飲むものなんだから、そんなにせいていたら、おいしくない」とおっしゃった。そうかと思い、しばらく注がなかったら、「たまには注いだらどうだ」と、西枝さんがおっしゃる。

――難しいですね?

 またある時には、西枝さんが、「酒は百薬の長だから」と、疲れた私に飲むようにすすめたんです。それでぐいぐい飲んでいると、「あのな、稲盛くん。酒に飲まれたらあかんよ」と。いやもう、どうしたらいいんだと思いましたね。まるで禅問答のような教えでした(笑)。

――他に教わったことは?

 いつも西枝さんに高級なところばかり連れていってもらっていましたので、たまにはご馳走しようと、私が京都駅近くの路地裏にある小さな飲み屋に西枝さんをお連れしたことがあったんです。そこは、まだ私が会社勤めだった時代から、なけなしのお金で飲んでいた飲み屋で、カウンター席があるだけの小さな店。西枝さんは、そこで2、3杯飲むと、「もう帰ろう」とおっしゃいました。

――どうしてです?

 西枝さんが車で祇園へ連れていってくださり、飲み直したんです。その車の中で西枝さんは、あの店は安くて、気持ちのいい飲み屋だとは思うけれども、ああいうところでいつも、酒を飲んではいけない、と。

――なぜでしょうか?

 飲むなら、値段が高くても、お金がかかっても、一流のレベルの人が来る場所で、一流の人と飲まなくてはいけないと教わりました。そうでないと、一流にはなれないと。もちろん、この教えは経営者としてのお酒の飲み方ですが。

――部下とは飲みに行かれるのですか?

 会社を経営するうえで、心の通じ合う関係を大切にしてきました。こうした人間関係を築くために、コンパと称する飲み会を京セラでは盛んにやってきました。上司と部下でも、信頼関係があれば、言いたいことをはっきり言えますからね。人との絆を強めるには、お互いを知り合うことがスタートです。あの人は私を知っている、私もあの人を知っている、そういう単純なことが信頼関係の基礎となります。

――京セラ流のコンパは?

 座敷で車座になって鍋をつつきながら酒を飲むという感じです。ビールでも飲んで、「オイ、○○君」と話しかけると、相手は「オレの名前を覚えてくれている」と急に親しみが増します。締めの雑炊は私がよく作ります。鍋のダシがおいしいので、塩と味の素で少しだけ味付けします。入れる順番が大事で、誰かが間違えようものなら、叱りますよ。

――飲み過ぎて羽目を外す人も出てきませんか?

 中には酔っ払って、酒をこぼすわ、服は汚すわという不埒な奴もいますので、私が「コラ」と、とっちめたりします。後からそのことを思い出して、あの時は、社長から面と向かって叱られた」と誇らしげに言う社員もいますよ。

――京セラの忘年会に参加されたりしましたか?

 私が若い頃、まだ会社が小さかったので、すべての部署の忘年会に参加していました。12月に入ると、ほとんど毎日、忘年会でした。ある年など、風邪で高熱が出ていたにもかかわらず、病院で注射を打って参加しました。

週刊朝日  2013年11月8日号


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