「朝青龍は『モンゴルと北朝鮮の関係は良好なので、それを生かしたビジネスをしたい』と話していた。その後も『北朝鮮政府とも太いパイプがある。近く何かやりたい』と言っていた」

 朝鮮総連本部ビルは「北朝鮮大使館」の役割もあり、北朝鮮としては絶対に手放したくない。3月の落札の際も、最福寺サイドが朝鮮総連側にビルを貸し出す意向を示し、事前に朝鮮総連と「密約」があったとささやかれた。今回も不穏な動きがあったようだ。

「何カ月か前、朝鮮総連から、謎めいた言葉で何とかしてほしいと頼まれた」

 そう語るのは不動産会社元社長の満井忠男氏だ。満井氏は、07年に競売寸前だった朝鮮総連本部ビルをペーパーカンパニーに登記移転させたとして、詐欺容疑で逮捕された人物。一、二審ともに執行猶予付きの有罪判決を受け、現在は上告中の身だ。

「朝鮮総連は何としても本部ビルを守りたいと手を尽くしていた。かなり(多くの人が)動いていたようだ。モンゴル企業と朝鮮総連側との間には、何らかの密約があるのではないか」

 様々な思惑が轟(うごめ)く「魔境」。次は何が起こるのか。

週刊朝日 2013年11月8日号