もとは日本庭園だったが、自分たちの手で洋風にした。5月には100本のバラが咲き乱れる(撮影/写真部・東川哲也)
もとは日本庭園だったが、自分たちの手で洋風にした。5月には100本のバラが咲き乱れる(撮影/写真部・東川哲也)
庭の中心に水を引いて井戸を造った。チョロチョロと流れる音でリラックス効果を狙う(撮影/写真部・東川哲也)
庭の中心に水を引いて井戸を造った。チョロチョロと流れる音でリラックス効果を狙う(撮影/写真部・東川哲也)
お客さんにはフルーツとハーブのお茶などでおもてなし。必ず一緒に記念写真を撮る(撮影/写真部・東川哲也)
お客さんにはフルーツとハーブのお茶などでおもてなし。必ず一緒に記念写真を撮る(撮影/写真部・東川哲也)

「文は人なり」というが、庭もまた人柄を表す。バラの花園、日本風、雑木林風など、庭にはいろいろな種類があるが、一つとして同じ庭はない。「雑草の抜き方にもその人の価値観が出る」というガーデナーもいる。

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 知らない人の家の庭を覗き見るのははばかられるが、今、日本中に一般家庭の庭を訪ねることができる、“オープンガーデン”という制度が広がっている。長野県須坂市では、2005年から事業を開始。協力に応じた市民が、ボランティアで庭を無料公開している。

 もとは1927年にイギリスで始まった制度。日本では10年以上前から始まり、今や北海道から沖縄まで全国の自治体で行われるようになった。

 須坂市の小林友子さん(65)、三男雄(66・みたお)夫妻の庭には、旅行会社が企画した庭めぐりツアー客も訪ねてくる。「大変だけど、庭を通じて日本中に友達ができました。ガーデニングにはいいことしかない」

 遠目からもわかるほど、小林さんの庭「フレッシュネットガーデン」は花であふれている。

「道路側にはカラフルで香りのいいバラを、内側にはパステル調の花を植えています。5月や6月になると、遠くからでもいい香りがすると言われます」

 友子さんはそう話す。話ながらも手がよく動く。花がらを摘んだり、虫を払ったり。「花はちゃんと応えてくれるんです。昨日は『取材が来るからきれいに咲いていてね』ってお願いしておいたの」。

 一昨年、定年退職した夫の三男雄さんも庭造りに励む。「ゴロゴロする暇もない。朝から晩までやることだらけです」。

週刊朝日  2013年11月1日号