本格的な甲冑武者が戦う「関ケ原合戦絵巻」 (c)朝日新聞社 @@写禁
本格的な甲冑武者が戦う「関ケ原合戦絵巻」 (c)朝日新聞社 @@写禁

 歴史好き、戦国時代好きにはたまらないイベントが、全国各地で行われている。徳川家康と石田三成が天下を争った関ケ原の戦い(1600年)があった岐阜県関ケ原町で催されている「関ケ原合戦絵巻」というイベントもその一つだ。

 このイベントは甲冑武者たちが関ケ原合戦を再現する群集劇で、合戦400周年の2000年や町制80周年の08年、合戦410周年の10年という特別な年だけ、全国から甲冑武者を公募して行っていた。

 ところが、このイベントが、10年からは毎年行われているのだ。その理由を関ケ原町地域振興課の担当者はこう話す。

「08年と10年は、参加者の『なりきり度』がグッと上がって驚きました。ただ、小さな自治体にとって、業者に依頼する台本や殺陣などの演出にかかる費用は馬鹿になりませんから、通常の年はできません。ところが参加者から、それなら台本と演出を全部やるから来年もやってほしい、と言われましてね。それで、続けることになりました」

 あふれる熱意で関ケ原町を動かしたのは、全国の甲冑武者祭に参加する増田昌広さん。08年の「関ケ原合戦絵巻」は、町が貸し出していた甲冑で初参加したが、10年には“マイ甲冑”で西軍の宇喜多秀家の家臣・明石全登(てるずみ)役を演じた。

「私の住んでいる近畿圏で、ここまで大きい甲冑武者の祭りはないので、やらないのが惜しくて仕方なかった。それで、台本と演出を任せてもらえないかと申し出たのです」

 11年は、島左近にスポットを当てた台本を書いた。今年の準備には、7月から3カ月以上もかけている。空いた時間や土日も、打ち合わせや台本作りで休めないが、苦にはならない。

「今年の『関ケ原合戦絵巻』は、10月20日にあります。武将同士の殺陣が見どころの一つですから、ぜひ見に来てください」

 これも歴史の伝え方の一つかもしれない。

週刊朝日  2013年10月25日号