秋風が吹き、そろそろ受験生にとって志望校を固める季節。近年、就職率の手堅さが受け、理系が人気を博している。とはいえ、数学が不得意な受験生もいるだろう。だが、実は「数学が必須受験科目ではない理系」も少なくないのだ。

 職業直結の資格系として人気の高い「薬学系」では、意外に数学を必須にしない大学が多い。関東では、国際医療福祉大、日本薬科大、帝京大。関西では、摂南大、神戸薬科大などだ。

「薬学部は近年、6年制になって、実務を重要視するようになりました。学問内容に直結する生物・化学などの科目は大事ですが、数学はそれほど重視されなくなったのかもしれません」(代々木ゼミナール入試情報センター統括本部長の坂口幸世氏)

 女子生徒に人気の高い「看護学系」は、大筋において数学を必須としない大学が多い。慶應大、順天堂大、上智大などの人気の難関大も総じて数学を必須としていない。

 驚くのは、数学が必須でない医学部もあることだ。帝京大医学部は、「英・国・数・物・化・生」から3科目選択となっていて、数学なしでも受験できる。

「いまの世の中、臨床医になるなら、患者とのコミュニケーションも重要ですので、文系力も大事だと思いますよ」(大学通信の安田賢治ゼネラルマネージャー)との言葉もある。数学が苦手の医学部志望者は、一考の価値ありだろう。

「歯学系」も、関東では日本大(松戸歯)や、鶴見大など、いくつか存在する。学部数も学生数も多い「工学系」では、「数学なし」で受験できるところは少ない。坂口氏はこう解説する。

「建築などのデザイン的要素も関係してくる学科だと数学なしでも受験できるところはあります。また、人気のある芝浦工業大は、システム理工学部、デザイン工学部で数学を必須としていない学科がありますね」

「理学系」では、数学なしで受けられる大学はそこそこある。なかでも名門女子大の日本女子大を推すのは、安田氏だ。

「日本女子大理学部は、数学は苦手だが、理学系に行きたい女子生徒におすすめです。女子大で理系の学部が単体として存在するところがそもそも少ない。入学後に充実した勉強が期待できます。日本女子大は就職時に面倒見がいいですし、就職率も高い」

「農学系」は、人気の明治大や近畿大も数学を必須としておらず、獣医学科をのぞくと数学を選択しなくても受験できる傾向にある。

週刊朝日  2013年10月11日号