「あなたの好きな映画は何ですか?」。こう聞かれたとき、自分の半生を振り返り、青春時代などに見た映画を選ぶ人が意外に多いのかもしれない。本誌は30代以上の男女計1千人に〈好きな映画〉などについてアンケートを実施。邦画では近年の作品よりも、昭和の名作やシリーズ物のタイトルが目立つ。

 30~40代に圧倒的支持を集めたのは、テレビドラマから映画化された「踊る大捜査線 THE MOVEI」シリーズだ。

「ワクワク、ドキドキ、楽しい」(50代・女性)、「一生懸命に頑張る姿」(40代・男性)という声が多くみられた。主演の織田裕二は、〈好きな男性俳優〉部門の総合10位。この映画でみせた「青島」の姿が多くの人の目に焼き付いているようだ。

 やはりテレビドラマから映画化され上位にランクインしたのが、「海猿」。30代から50代で票を集めた。

「感動の連続」(50代・男性)「感動のラスト」(50代・男性)と、キーワードは「感動」らしい。

 そして、邦画人気を支えるのが「ジブリ作品」だ。先日引退表明した宮崎駿監督の作品は、一つひとつの順位が目立たなくても、あちこちにランクイン。「となりのトトロ」「天空の城ラピュタ」「風の谷のナウシカ」「魔女の宅急便」「千と千尋の神隠し」「風立ちぬ」など、仮に、「ジブリ作品」として票をまとめたら、間違いなくトップだろう。

 宮崎作品のなかでも人気が高いのが「となりのトトロ」。30代と50代女性ではトップだった。

「胸の中に求めている大事なものに出会える」(50代・女性)、「ほのぼのする」(30代・女性)などの思いが寄せられた。

 長期にわたるシリーズ物も強く、男性限定だが「ゴジラ」シリーズも幅広い世代でランクイン。50代のみでランクインした「ガメラ」シリーズを上回った。

 そして忘れてはならないのが、40代以上の男女から多く票を集めた「男はつらいよ」。実はランキングを集計する際、最初は上位に入っていなかったのだが、多くの人が、映画名を記入する欄に「寅さん」「フーテンの寅」などと役名で投票していた。それを合わせると上位にランクイン。

「これこそ日本、日本人」(50代・男性)、「古きよき日本の人情話」(60代・女性)、「人情味にあふれている」(60代・男性)、「何度見ても飽きない」(70代・男性)と、寅さんこそ日本の象徴といった声が集まった。

週刊朝日  2013年10月11日号