本県の誇る広告塔「くまモン」に、千葉県船橋市“非公認”の「ふなっしー」――。着ぐるみをまとった「ゆるキャラ」たちの勢いがすさまじい。そしてついに、刑務所にもその波が押し寄せた。

 その名も「カタックリちゃん」。北海道の旭川刑務所はこのほど、2009年から使用しているPRキャラクター「カタックリちゃん」の着ぐるみを作製した。もちろん、全国の刑務所で初めての試みだ。

「多年草カタクリの群生地が近くにあることから、その花をイメージしました」(旭川刑務所の広報担当)

 頭部の紫色の花がなんとも斬新だ。男性バージョンは刑務官の制服をバッチリ着込み、「カワ凛々しい」感じ。女性バージョンは、実は花の妖精。おめめパッチリで、赤いほっぺがかわいらしい。

 それにしても、なぜ刑務所にゆるキャラなの?

「近寄りがたい刑務所のイメージを和らげたいと考えています。まずはゆるキャラで注目してもらい、手に職をつけようとしている受刑者の取り組みなども社会に浸透していけば、と。出所後に就職できれば、再犯はグッと減るんです。若手の刑務官が汗だくになり、着ぐるみで頑張っています」(前出の広報担当者)

「刑務所」と「ゆるキャラ」という“ギャップ”がうけ、人気は急上昇中という。ギャップといえば、最近は「ゆるくない」ゆるキャラが話題となっている。

 代表格は高知県の「カツオ人間」と北海道夕張市の「メロン熊」。カツオ人間は、ブツ切りのカツオの頭部と人間の胴体が合体した奇抜なデザイン。後頭部を見ると、生々しい赤身と骨が……。メロン熊は農家を荒らしてメロンを食べすぎ、凶悪な顔に変貌したという設定。「子どもはまず泣きだして逃げます」(北海道物産センター夕張店の担当者)。

 キャラクターに詳しい広告会社アサツーディ・ケイの野沢智行氏が言う。

「ツッコミどころ満載のほうがネットなどでネタになりやすい。普通のキャラでは注目されなくなっている」

 どこまで広がるのか。恐るべし、ゆるキャラ。

週刊朝日  2013年10月11日号