相続税対策を考えるなら、タワーマンションの購入を検討してみてはどうだろうか。購入額よりも評価額が安くなるため、相続税の節約が見込めるのだ。さらに賃貸にすれば新たな収入が期待できるなど、メリットは大きい。

 しかし、どのタワーマンションを買っても、節税に資産運用に、すべてがうまくいくとは限らない。そこには一朝一夕では身につかない「目利き」が必要となる。不動産情報会社アトラクターズ・ラボの沖有人(おき・ゆうじん)代表取締役は物件選びの大原則として、「相場よりも割安な物件を見つけること」を挙げる。割高な物件をつかまされたら、「節税効果」も吹き飛んでしまうからだ。同社では保有している膨大な物件データから、各物件の「適正価格」を割り出し、実際に売られている物件が「割高」か「割安」かを調査している。その調査結果から、同社が節税に関する相談を受ける際に「推奨物件」としていた東京都内の中古マンションのうち、20階以上のタワーマンションを抜き出してもらった。

 やはり都内でも人気の高い物件が並んでいる。たとえば港区の2棟マンション「東京ツインパークス」は、三菱地所や住友不動産など8社が2000年に発売し、全1千戸が発売後まもなく完売した物件だ。敷地の東側には浜離宮恩賜庭園が広がる。部屋は約40平方メートルから200平方メートルまであり、価格は「億ション」の部屋も。09年にできた江東区の「THE TOYOSU TOWER」は、43階建てで全825戸の大規模なタワーマンションだ。建物内にフィットネスジムを備え、コンシェルジュサービスも完備。高層階の約85平方メートルの部屋が約7500万円で売られており、ファミリー層などに人気だ。

 こうした物件では相続税評価額の大幅減も十分に期待できる。ただ、むやみに買えばいいわけではない。

「タワーマンションでも、億ションの物件や最上階の物件となると、多くの人は敬遠して買い手がつかない場合もあります。億ションが売れるエリアは限定的。初めてタワーマンションを買う場合は、需要が高い8千万円以下の物件を選ぶのが無難でしょう」(沖氏)

週刊朝日 2013年10月4日号