(※イメージ)
(※イメージ)

 第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し話題を集めた、是枝裕和監督の「そして父になる」(9月28日から全国公開)。子どもの取り違えに遭遇した2組の家族を描いた同作品で、それぞれの家庭の父親役を演じた福山雅治さんとリリー・フランキーさんが対談。公式試写でのエピソードなどを披露した。

*  *  *

福山:そうそう、撮影のエピソードもさることながら、公式の試写を初めてリリーさんの隣で見た日のこと。もう見終わる前から「グスッ、グスッ」という音が聞こえてきて。ああ、リリーさん、だいぶきてらっしゃるなあと。終わった後に言った一言がすごく印象的なんですよ。「いい映画だった~」って。

リリー:すごい客観的だね。

福山:すごい客観的になっているわけですよ。撮影から時間がたっているからかもしれないけど、リリーさんの反応で安心しましたよ。自分のお芝居や僕の芝居、真木よう子さんはもちろん知っているし、オノマチ(尾野真千子)さんは初めてでしたっけ? でも、知り合いがいっぱい出ている身内みたいな作品を見て、「いい作品だ」と完全に客観的に見ることができて、かつ泣けるというのは、ああ、成功だったんだなって。

リリー:福山くんは主役だから、客観的に見ることは難しいんでしょ。俺が泣いているのを見て、福山くんに「映画好きなリリーさんが泣いているんだから、この映画はいい映画なんでしょうね」って言われた。それで俺も自分の中で作品の評価があらためて高まって、いざ試写室から出ようと思ったら、一番出口の近くに是枝さんが座っていたんですよ。号泣しながら(笑)。この人、この映画を何回見てるんだよって(笑)。

福山:毎回泣いてるんじゃないですかね。

リリー:泣けるとか笑えるとかは演じているほうは現場でまったく意識もしていなかったから、見て初めて、意外に笑う人がいるんだ、泣く人がいるんだって思いました。やっぱりこの作品、見る人と作品の距離感がすごく近いんでしょうね。

福山:僕は父親役は初めてだったんですけど、リリーさんは?

次のページ