『2052』の著者が語る「日本は世界のお手本を示せる国」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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『2052』の著者が語る「日本は世界のお手本を示せる国」

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週刊朝日#原発

 近未来シミュレーションとして、BIノルウェービジネススクール教授で『2052』著者のヨンゲル・ランダース氏に今後の日本について伺った。

*  *  *
 私はこのたび、2052年までの世界の未来予測を行いましたが、それは非常に暗いものとなりました。

 世界は現在、森林や海が吸収できる量の2倍の二酸化炭素を排出しています。このペースで排出し続ければ、二酸化炭素は大気中に蓄積されていき、2030年までに気温が現在より2度以上も上昇することになるでしょう。世界中で大規模な洪水や干ばつ、そして地滑りなどの天災が頻発するようになり、人類の生活は困難になると考えています。このままでは、世界は確実に持続可能な社会ではなくなっていくのです。

 こうしたなか、日本はエネルギー政策において世界にお手本を示す国になれると思います。

 東日本大震災や福島の原子力発電所の事故をきっかけに、エネルギー政策を前向きに変えるチャンスを迎えています。日本の企業は環境に優しい太陽光発電や海上風力発電などに切り替えることができる技術をすでに持っています。原発よりコストは高くつきますが、原発を建て直す費用を使うよりはずっといいでしょう。先進国の中で地理的に南に位置しているため豊富な太陽光があり、太平洋からの風にも恵まれています。

 私は若いころ、原発に関わる仕事をしていました。今でも原発は安全なエネルギーだと思っています。しかし、核廃棄物を何百年にもわたって後世に残してしまうため、今は原発の利用に対して反対です。

 日本の大企業の一部は、長期的な環境問題に対しても取り組んでいます。トヨタ自動車は、持続可能な社会に発展させることの重要性を認識しているといえます。少ないガソリンで走る車が必要になると考え、約20年前からハイブリッド車「プリウス」の開発をはじめ、成功しました。開発当初は、誰も燃費効率を重要視していない時代でした。

 三菱重工業は、火力発電所や工場などで大量の二酸化炭素を回収し、地中に戻す技術をすでに実用化しています。二酸化炭素を大気中に放出しないため、温暖化対策になるのです。パナソニックも二酸化炭素の排出量を削減するヒートポンプを使った暖房を手がけています。

 このように日本は持続可能な社会の発展に貢献できる技術を持っている。今後、大きなチャンスを迎える可能性があると思います。

週刊朝日  2013年8月30日号


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