難関大学への進学実績から、中高一貫校の人気が高い。そこで本誌では、中学受験時の偏差値がそう高くないにもかかわらず進学実績がある、いわば“お得”な中高一貫校を調査した。

 入学時の学力を6年間で伸ばしてくれて、国公立大の現役合格率が高い学校は、2007年と14年の偏差値を比べると、上昇しているケースが多い。そんななか、まだ比較的入りやすくて狙い目なのが、淑徳(東京)だ。07年には国公立大学の合格者が6人だったが、今春は46人(うち現役は40人)。国公立大、早慶上理、MARCH、医歯薬医療系の合格者も138人から353人と大幅に増えた。1892(明治25)年に女子校として開校したが、1991年に共学化してから東大合格者も出るようになり、進学実績が年々伸びている。湊広賢(ひろたか)統括教頭はこう説明する。

「共学前は付属の淑徳短大に進学する女子が多かったが、男子が入学してから男女ともに国立大や有名私大を目指すようになりました。このため、05年に中学、高校ともに、従来の特進コースをハイレベルにした『スーパー特進コース』を設置。3期生から東大の合格者を出しました」

 同コースに入学金や授業料などが免除となる特待制度を設け、優秀な生徒を集める一方で、教師の指導力の向上にも取り組んだ。

「スーパー特進を設置してから、高校教師を対象とした予備校の『教育セミナー』への参加を奨励しています。春期、夏期、冬期に行われる駿台、河合塾、代ゼミなどのセミナーの受講料は全額学校負担。5~6講座受講する教師もいます。熱意がある教師を採用し、若い場合には同じ教科のベテラン教師がペアを組み、指導します」(湊教頭)

 ほかにも、生徒への授業アンケートや公開授業での保護者アンケートも実施し、結果を教師に伝えている。また、生徒の学力を伸ばすために中学で行っているのが、火曜と木曜の放課後学習だ。

「基本は自習で、学習習慣と解き方を身につけさせることが目的です。教員に質問できるし、ゼミや講習もあるため、中学時に塾に通う生徒はクラスに数人です。英語に力を入れていて、授業は全コース週に8時間。英検は中3までに準2級をとるよう指導しています。高校ではクラス全員が1年間留学する、日本初の留学コースもあります」(同)

 12年には、ひとクラスが20人ほどの「スーパー特進東大選抜コース」を設置。学力だけではなく、豊かな心を持つリーダーの育成を目指す。全員が特待生となるこのコースは比較的偏差値が高いが、入試の得点によっては、入学金、授業料、施設費が無料になるため、費用面でもお得だ。

週刊朝日 2013年8月30日号