「老後破産」を防ぐ資産運用に、新たな制度「NISA(ニーサ)」が活用できそうだ。株や投資信託などを買った後、配当金が出たり売って儲かったりしたときに税金が有利になる。これから投資に一歩踏み出そうという人に、NISAの長所・短所を紹介する。

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 NISAのメリットはなにか。「エフピーウーマン」代表のファイナンシャルプランナー(FP)、大竹のり子氏はこう話す。

「NISAは、利益が出るのであれば、メリットが大きい制度です。たとえば、100万円を投資して将来資産が倍の200万円になったとします。一般の口座であれば、手元に残るのは税金を引くと180万円ですが、NISAを使えば200万円が残ります。この差は大きいですね」

 大竹氏は、その半面、NISA口座と他の口座との損益を相殺できない点がデメリットになると指摘する。

「利益が出ない場合、制度のデメリットも大きくなります。NISAを使って100万円を投資して、5年後にその価値が50万円になったとしましょう。損を出したまま売りたくないので、売らずにNISAの口座から一般の口座に移したとします。その後運用に成功して、資産価値が120万円になった時点で売った場合、利益は70万円とみなされ、その20%の14万円が税金になります。つまり最初から考えると20万円しか利益が出ていないのに、税金で14万円も持っていかれることになるのです」

 また注意したいのは、NISA口座は一人ひとつしか開設できないことだ。また、どこで口座を開くかによって購入できる商品が異なるため、口座選びは注意したい。「ファイナンシャルリサーチ」代表のFP、深野康彦氏はこう語る。

「たとえば銀行は株を扱っていないので、投資信託しか購入できません。どんな商品を買いたいかを考えてから口座を開設する必要があります」

 大竹氏もこう指摘する。「一度口座を開くと4年間は変更できません。金融機関が扱う商品のラインナップもまだ出そろっていないので、慌てて口座を開くのは得策ではないでしょう」。

週刊朝日 2013年8月30日号