日本の超高齢化社会に「パワードスーツ」があったら… 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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日本の超高齢化社会に「パワードスーツ」があったら…

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 17年後の2030年、日本は65歳以上の人口が3割を超え、100歳以上の超高齢者は現在の5倍に達すると予想される。世界が未だ経験したことのない少子高齢化社会は、とかく暗いものを想像しがちだが、もしかしたら日本の技術と知識でハッピーな未来にできるのかもしれない……。アラウンド70歳で結婚した、こんな夫婦の姿を予想してみた。

*  *  *
 結婚式の2次会を終え、人生2度目の大イベントはようやく幕を閉じた。リニアモーターカーで自宅のある名古屋に戻る。東京から名古屋まで30分ほど。今では通勤圏内だ。車窓の向こうには、山沿いに立ち並ぶ植物工場や食品冷凍工場、そして「藻」のプラントがきらびやかな光を放っている。

「3Dプリンター」で自作したメガネ一体型スマートフォンには、仲間からお祝い動画メールが次々と送られてくる。見終わらぬうちに名古屋に着いてしまった。

 振り返れば、少し前まで日本は悲嘆に暮れていた。少子高齢化で社会保障費が跳ね上がり、労働人口の減少で低成長が続く――。そんな暗い話ばかりだった。

 暗い世の中を変えたのは、やはり日本の技術力だ。労働人口の減少は、筋肉をサポートする「パワードスーツ」の普及で解決。通称「力持ち君」を身につければ、高齢者でも力仕事ができるのだ。ガシャン、ガシャン。住谷靖(70)もこれを着て、介護の仕事を毎日こなす。

 そして、日本は産油国になった。19年前の東日本大震災で停止した原子力発電所は結局、再稼働できなかった。代わりに台頭したのは、風力や太陽光ではなく、「藻」だ。藻からオイルを取り出す技術が実用化され、日本中の休耕田で藻が作られている。米国のシェールガスが水質汚染問題で不発に終わり、世界は日本に熱い視線を注いでいるのだ。

「きょうはありがとう」。自宅に戻ると、今日子(66)が抱きついてきた。そして、何か言いたげな表情で急に黙り込んでしまった。真意を探りかねていると、意を決したように伏し目がちに口を開いた。「お姫様抱っこ、できますか?」

 2年前、iPS細胞を使った再生医療で神経を移植し歩けるようになったものの、46年間車椅子生活だった少女がかつて夢見ていたこと。そのすべてをかなえてあげたいと思っている。だが、いくら元気とはいえ、もう70歳だ。

 今日子は再び黙り込んでしまった。「ちょっと待って」。

 そうだ。この手があったぞ! 自分の部屋に駆け込み、いつもの作業着に着替えた。ガシャン、ガシャン。“力持ち君”に変身した靖を見て、今日子は笑いが止まらなかった。

週刊朝日 2013年8月30日号


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