大畠新幹事長(左)は日立の原発技術者だった。菅氏には党員資格停止3カ月の大甘(?)処分 (c)朝日新聞社 @@写禁
大畠新幹事長(左)は日立の原発技術者だった。菅氏には党員資格停止3カ月の大甘(?)処分 (c)朝日新聞社 @@写禁

 参院選で17議席と大惨敗を喫しながら、懲りずに内ゲバを繰り広げる民主党。野党になっても、まとまらない、身内を攻撃する、保身に走るというダメ組織はそのままのようだ。たった3年余りで国民から見放された反省など、この政党にはどこにもない。

 ヨロヨロの船出だった。「ガンバロー!」

 新幹事長に決まった大畠幸宏前代表代行(65)が音頭を取っても反応は薄く、三唱の最中に退室する議員すらいた。7月26日午後、民主党本部で行われた両院議員総会での一コマだ。

 物事を決められず、両院議員総会でなじり合い、離党者が続出するというのが、政権を失うまでの民主党のお決まりのパターン。野党になっても何ら変わらず、この日も「敗軍の将は引き際を間違えてはいけない」など執行部批判が相次いだ。「これだけ負ければ普通は“党を壊してはいけない”と結束するでしょ。だけどみんな我慢できずに、やりたい放題、言いたい放題なんだよなあ」(中堅議員)。

“我慢できない組”の一人が細野豪志前幹事長(41)だ。参院選の東京選挙区で、公示2日前に公認候補を一本化。公認を取り消された現職も無所属で立候補し、菅直人元首相(66)が応援にまわるなどゴタゴタが続いた。「『また党がバラバラになったのか』と行く先々で言われ、えらい迷惑だった。あの騒動で相当票を減らした。責任は重い」(連合幹部)。思惑どおりに事は運ばず共倒れ。細野氏はいち早く幹事長辞任と、そして菅氏の除籍処分を口にした。

 投開票日の21日には、みんなの党の江田憲司幹事長(57)の誘いで、日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長(52)とともに都内のホテルのミーティングルームで1時間ほど会談。今後の連携を協議した。

 菅グループの重鎮は、「みんなと維新から、“菅切り”を再編の条件に持ち出され、強硬な処分を下そうとしたのではないか。そもそも一本化は不透明な形で決まり、他党との連携だって執行機関で決まったわけでもない。独断だ」とぶちまける。

 幹事長の辞任についても「次の衆院選の候補者となる小選挙区総支部長を選任する仕事からも逃げた。人を切る仕事で恨みを買うからね。結局、泥船から逃げたんだ」(前出の中堅議員)との批判が出ている。やることにすべてケチをつけられているのが現状だ。

 そして輿石東参院議員会長(77)の聖域だった参院でも政争が勃発している。

 若手を中心に輿石氏を参院副議長に推薦する署名を集め、本人に手渡した。

「本人に党内で署名活動が起きていることを伝えたら、『えっ!』と驚いていた。“輿石独裁”に不満を持っている人たちが相当いて、党から追い出そうとしている」(側近議員)

 支援組織である連合もバラバラ感が鮮明だ。

「電力総連は最後まで候補者に推薦を出さないなど、終始、非協力的な態度だった。『これでは今後一緒に戦えない』という声があちこちから起きている。頭が痛い」(連合幹部)

 総会で辞任を要求され、菅氏への処分が甘いとなじられるも居座りを決めた海江田万里代表(64)。野党再編について「最も大切なのは民主党が動きの中心になることだ」と言及し、民主党単独で政権を狙う意思がないことを表明した。これを聞くと、ある落選議員は「くだらねえ。まず自分の政党をどうにかするのが先だろう」と吐き捨てるように言い、途中退席した。

「あの政党はじきに消えてなくなるから」。野党時代の自民党議員がよく口にしていた言葉が、いま現実になりつつある。

週刊朝日  2013年8月9日号