昼は油そば屋、夜はガールズバー 異色の二毛作ビジネス 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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昼は油そば屋、夜はガールズバー 異色の二毛作ビジネス

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週刊朝日#食
「凛」昼は油そば屋、夜はガールズバーを営業東京都世田谷区用賀4-11-6

「凛」
昼は油そば屋、夜はガールズバーを営業
東京都世田谷区用賀4-11-6

 うだるような暑さの中、東京都世田谷区の住宅街を歩いていると、一つの看板が目に留まった。看板には「油そば屋 凛」とある。入り口には何の変哲もないが、目を引くのは、店舗上にデカデカと飾られた女性の写真と「GIRLsBAR 凛」の文字。なんだ、コレ……。もしかして、こんなコがセクシーなドレスで注文を取ってくれるとか? それとも、色っぽく油そばを作ってくれたりして。むむむ、これは期待できますぞ。今日の昼飯は、キャピキャピのガールズたちに囲まれながら、ツルッと油そばでも頂きますか。

 ということで、店内へ! 「はい、らっしゃい!」

 予想に反して、野太い声が店内に響く。見ると、スキンヘッドに鉢巻きをしたコワモテの男性が一人。あれ? キャピキャピガールズは? 恐る恐るスキンヘッドの男性に声をかける。

「看板見たんですけど、この店って女の子がいるんじゃ……ないんですかね?」
「ああ、あれね。ウチは、昼は油そば屋で、夜はお酒を出すガールズバーに変わるんですよ。だから、昼は女の子はいないよ」

 マ、マジですか……。失意のどん底で、油そばを注文する。よほど落ち込んだ顔をしていたのか、めんをゆでながら店主が言う。

「お客さんみたいな人、たまにいますよ。まあ、すぐに『間違った』って気づくけど(笑い)。逆に、最初は夜に来て、昼は油そばを出してることを聞いて、食べに来てくれる人もいるよ」

 たしかに、油そば屋にしてはシャレたいすに、ピカピカのカウンター。奥には酒ビンが並んでいる。コワモテの外見に似合わず、丁寧な仕事がされた油そばに舌鼓を打ちながら、夜の営業について聞いた。

「オーナーは一緒だけど、夜の店長は別の人がやってます。油そば屋は15時で終わって、掃除してから夜にバトンタッチするんですよ。せっかくだから夜も来てみたらどうですか?」

 そうですよね。せっかくですから、夜も来るべきですよね。

 というわけで、8時間後、再び「凛」を訪れた。

「いらっしゃいませ~♪」

 昼とは正反対の、黄色い声がお出迎え。ブラックライトが店内を照らし、カウンターでは4人の女の子が微笑んでいる。さっそく、昼間と同じカウンター席に座ってカクテルを注文する。う~ん、いい眺めですな。同じ店なのに、こうも景色が違うとは。ガールズバーで働く大学生のNさん(20)に話を聞く。

「常連さんは、夜も油そばが出せるのを知ってるから、たま~に頼む人もいますよ。でも、一人で注文すると一杯1500円みたいだから、割高ですけど。お客さんとの会話がなくなったら、油そばの話で間が持つから、そのへんは楽かな」

 同じ店舗で昼と夜に業態を変えるのは、農業の様式にならい、「二毛作ビジネス」とも呼ばれる。それにしても、油そば屋とガールズバーとは、何とも異色の組み合わせだ。

 なぜ、この「二毛作」を考えついたのか。「凛」のオーナーが語る。

「まず、用賀にガールズバーがなかったので、始めてみようと思ったのが最初です。都心で家賃も高いし、夜だけではもったいない。私は立川で油そば屋を経営していたこともあり、そのノウハウを昼に持ってこようと思いました。昼と夜の両方に対応できる内装にすること、食材の使いまわしはせず、経理上も昼と夜できちんと分けることは気をつけました」

週刊朝日 2013年8月2日号


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