「アベ相場」の第2幕は、静かにスタートした。「自民圧勝」から一夜明けた7月22日の日経平均株価は180円高で始まり、終値は1万4658円となった。今後はどうなるのだろうか。本誌は、大手証券会社や外資系運用会社に勤めるプロ4人に緊急取材した。大和住銀投信投資顧問 チーフストラテジスト・門司総一郎氏、アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン運用部長の寺尾和之氏、岡三証券 日本株式戦略グループ長・石黒英之氏、第一生命経済研究所の副主任エコノミスト・藤代宏一氏といずれも相場の予想に定評のあるベテランばかりである。

 すると、4人全員が、12月には現状よりも非常に高い水準にあると予想した。寺尾氏、石黒氏、藤代氏の3人は、「12月に1万8千円」と予想した。これから5カ月ほどで約3千円上昇すると見ているのだ。「高値」でいちばん低い水準を予想した門司氏でさえ、1万6500円である。いったいなぜ、そこまで強気になれるのか。

「『ねじれ国会』が解消されたうえ、2016年まで国政選挙がないとされます。政権は長期に安定するため、いよいよ思い切った政策を実行できるからです。アベノミクスが一段と加速するため、株式相場には中期的にプラス。東京オリンピック開催が決まり、消費税増税が見送りになれば、1万8500円もありえるでしょう」(岡三証券の石黒氏)

 06年以降、日本は毎年のように首相が代わってきた。そういう状況では、政府が主導して景気が回復するという期待は高まりにくい。特に遠く海の向こうから売買の判断をする外国人投資家にとっては、あえて日本株を選ぶ理由になりにくかったという。その状況が一転したのである。

 では、だれがその水準まで買うのだろうか。参院選の結果は圧勝だったが、事前報道の予想どおりとも言える。株式相場は将来を先んじて織り込みながら動くものだ。自民圧勝は「織り込み済み」ではなかったのか。

「今後は、最低でも3~5年は保有する長期投資家が買ってくると考えています。彼らはそれだけの理由を確認してからでないと動けない。『ねじれ解消』は、そうした投資家の背中を押すのです」(大和住銀の門司氏)

週刊朝日 2013年8月2日号