かつて、「不況になると教職が人気」と言われた。しかし、それも今は昔――。2013年度の国公立大学入試において、教員養成系学部の志願者数が大きく減少した。不況を背景に「国公立志向」があった中だけに目立つ動きとなったのだが、この「先生」の不人気の理由を探ると、教育現場のあまりに厳しい実態が浮かび上がってくる。

 実際に教育現場にいる教師たちに聞くと、風当たりの強さを痛烈に感じているようだ。四国地方の公立小学校で教壇に立つ50代のベテラン教師は、悲鳴にも似た声をあげる。

「このごろ、『守られていない』と感じます。昔なら『先生に叱られるのは生徒が悪い』と受け止められるところが、いまは『先生や学校が悪い』です。ひどい教師もなかにはいますが、ごく少数派。ほとんどの教員は良識も意欲もあります。なのに、現場でも報道でも『先生が悪い』と言われる風潮があり、いい先生ほど挫折していきます」

 また、子どもや教育に関する調査をしているベネッセ教育研究開発センターのデータによると、2007年から10年にかけて増加している教師の悩みは、小学校でも中学校でも「保護者や地域住民への対応」が上位に入った。現場の教師たちの話からは、「モンスターペアレンツ」に苦慮する様子がうかがえる。

「ガラスを割った生徒がいて保護者にそれを注意したら、『ここに石があったから、うちの子は石を投げたんです。誰がここに石を置いておいたのですか』と返してきて、唖然としました」(50代・小学校教員)

「卒業アルバムで『うちの子の写りが一番悪い』と怒鳴りこんでくる保護者がいます」(50代・中学校教員)

 教育社会学が専門の今津孝次郎・愛知東邦大教授はこう語る。「いまは保護者のクレームが多く、若い先生ほど苦労しています。慣れない若い先生にとって、保護者は年上のことが多いからです。さらに、昔は『先生におまかせします』と言っていた保護者も多かったが、いまはわが子かわいさのあまり自分の子どもの指導に直接注文を出してくるようになりました」。

週刊朝日 2013年6月28日号