マンションを選ぶ際には、地盤の固さ、建物の構造、標高などの耐震性も注目されるようになってきた。首都圏で地震に強い“最強のマンション”はどこにあるのか。

 地盤の良しあしをチェックしよう。「地盤の固さは地形を見ることで判断できる」と話すのは関東学院大学の若松加寿江教授だ。

「東京都を例にすると、海抜ゼロメートル地帯と言われる江東区や墨田区などが標高の低い『低地』と言われる地形です。地盤が軟弱で地震の際に揺れやすい。東京23区は、こうした低地のある東部と、新宿や渋谷がある西部(山の手エリア)の『台地』に分けられる。台地は低地よりも、比較的地盤が固く地震に強い」

 大宮は埼玉県川口市から鴻巣市にかけて広がる台地(大宮台地)の上に位置していて、価格が高騰している資産価値の高い駅だ。“最強のマンション”の所在地としては、うってつけの地域かと思いきや、若松教授は「駅周辺には軟弱地盤が多い」と指摘する。

「大宮台地には、多数の谷が入り込んでいて、1950年代まで谷地田(やちだ)と呼ばれる沼地があった。そこには、今でも泥炭が堆積していて、超軟弱地盤となっている」(若松教授)

 こうした例外的な軟弱地盤は都心エリアの中にも点在している。東京都の標高図を見ると、山の手エリアを東西に流れる神田川や目黒川などの川沿いに標高の低い地域がある。これらは台地のなかでも、「谷底低地(こくていていち)」と呼ばれる地形で、他の台地よりも地盤が軟らかいという。

「川が運んできた土砂や泥炭が堆積していて地盤が軟らかく、地震が起きたらよく揺れます。たとえば渋谷は地名のとおり、二つの川(宇田川と渋谷川)の合流地点に位置していて、すり鉢地形の底にある。渋谷のほかにも、中野区の沼袋や新宿区の下落合などが川の合流地点となっています。こうした軟弱地盤は構造設計などで対応できることも多い。どういった対策を講じているか確認しましょう」(同)

週刊朝日 2013年6月14日号