7月後半の投票日が予想される参議院選挙。自民党の圧勝も囁かれているが、“永田町の千里眼”である政治評論家の森田実、時事通信社解説委員の田崎史郎両氏は野党の動向に注目していることを対談で明かした。

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森田:野党がどう立て直すかも注目です。国民はテレビタレント型の政治家が引っ張る政党について、もう飽き飽きしている。だからこそ民主党の再生が大事なんです。政権を担っていたときに執行部入りしていた人たちを一掃し、新しいリーダーをつくれるかどうか。香川の玉木雄一郎衆院議員なんかいいと思いますよ。財務省出身の44歳。若くてしっかりした人物で、選挙も強い。彼を前面に押し出して全国遊説したら、脱皮した民主党を印象付けられます。もう昔の人たちには国民から信用がありません。

田崎:参院選後、民主党は第二の社民党になる可能性があります。自民党の強硬保守路線が色濃くなってきていますから、党が生き残るためには穏健な保守層をいかに束ねていけるかでしょう。需要はあるはずです。離党が取りざたされる前原誠司前国家戦略相や長島昭久元首相補佐官ですが、党を離れるつもりはありません。それよりも次の総選挙までに野党を再結集させようという路線です。何とか自民党の対立軸となり得る政党をつくりたいと考えています。

森田:自民党の中に「維新、みんなと連立し、公明党を切ればいい」という人たちがいますが、公明党の支援がなければ衆院小選挙区でほとんど勝てません。大勝し勘違いしてますが、実際にはますます公明党依存が強くなっていく。この強固な相手にどう立ち向かっていくか。野党がいくつも乱立していて、風が吹くわけがありませんから。

田崎:再編といっても実際は簡単じゃないです。まず消費税の問題があります。増税賛成の民主党と、反対したみんながぶつかる。だから消費増税実施後しか野党再編はできないんです。それと総選挙が近づいてこないと、みんな本気で考えない。昨年12月の総選挙から2年たったころから、野党の再結集が具体化していくでしょうね。それまでアヒルの水かき的にいろんな会合を続ける。次の総選挙までに野党再結集を図らないと、また自民党に負けます。そのとき中心となるのは岡田克也前副総理か、前原氏か、もしくは喪が明けた細野豪志幹事長かもしれない。橋下徹大阪市長の可能性だってあります。次の総選挙で最後の勝負をかけてくるかもしれません。

森田:今回から解禁されたネット選挙ですが、候補者情報が知れ渡ることはいいことです。一方でネットで投票できるようになったわけではないので、投票率にはさほど影響はないと思います。ネガティブキャンペーンが次々と起こり、裁判ざたが増えるでしょう。禁止したところで、みんなが守るなんてことはありえません。今まで以上にそうした攻撃を受ける可能性が高くなる。

週刊朝日 2013年6月7日号