女性用アダルトグッズが今、売れに売れている。それは(株)典雅が世界40カ国以上で累計2500万個以上も売ったオナニーホール「TENGA(テンガ)」の女性版「iroha(イロハ)」だ。3月3日ひな祭りの発売前から大きな注目を集め、6800円という価格にもかかわらず注文が殺到。現在は追加生産中で、4月末に再入荷予定という。

「女性だけでなく、男性からのお問い合わせも多く、60代と思われる方からの電話もありました」

 こう話すのは、典雅の広報担当、伊藤しずかさん(27)。本体は柔らかくぬくもりが感じられ、「プニプニした肌触りが最高。ずっと触っていたくなる」(購入者の女性)との声が上がっている。

 商品は3種類。白い「YUKIDARUMA」は挿入、淡い緑の「HANAMIDORI」は当てる、桜色の「HINAZAKURA」はつまむという特徴を持つ。好みによって振動の強弱を切り替えられ、振動音は驚くほど静か。

 女性用アダルトグッズの歴史をひもとくと、19世紀の英国ビクトリア朝末期にさかのぼる。当時、女性特有の病気とされていたヒステリーは、子宮に原因があると考えられていた。そこで、医師が女性器をマッサージしてオーガズムを引き起こし、女性の怒りや憂鬱(ゆううつ)を鎮めていたという。しかし、医師が素手でやっていては身が持たない。というわけで、医療器具として電動バイブレーターが開発されたというのだ。

 そんな誕生秘話を描いた映画「ヒステリア」も、「iroha」の発売を後押しするように、4月20日から公開中だ。「iroha」という名前には、“はじめの一歩”という願いが込められている。女性のオナニー自由化の第一歩となるか?

週刊朝日 2013年5月3・10日号