史上空前の盛り上がりを見せているアベ相場。こうしたなか、保有資産が1億円を超える個人投資家が増え始めている。ネットの株式関連の掲示板などでは、こうした人たちを「億り人(おくりびと)」と呼び、話題が沸騰中である。

 不動産関連会社の経営者で個人投資家でもある、ららさん(42=ハンドルネーム)は、「1泊2日の取引」を日々繰り返している。株式市場が開く前に、ある程度銘柄を決めておき、開くとともに一斉に発注。多いときには100銘柄ほど注文するという。その日は、それ以上の取引はほとんどしない。

「銘柄の選定は決算やニュースなどで判断します。東証の取引が始まるとともに買ったら、翌日の取引時間の終了時に『引成注文』(その日の終値を確定させる最終売買時に出す、株価を指定しない注文方法)で売る。1泊2日で決済するように決めているんです」(ららさん)

 どうして売るタイミングを決めているのか。「買うタイミングは、だれでもつかめる。しかし、売るタイミングにはその人のセンスが出るんです。負けてくると、さらに持ち続けて損失を広げたりする。確実に売るため時間で区切っているんですよ」(同)。

 朝5時に起きて、幅広い銘柄に投資することを繰り返し、昨年から1億円以上の利益を上げたという。

週刊朝日 2013年4月19日号