安倍晋三政権の経済政策アベノミクスによって円安が続く日本。投資助言会社「フジマキ・ジャパン」の代表を務める藤巻健史氏は、大幅な円安になった場合、日本人、とくに若者にはある能力が必要になると言う。それは何か?

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 ご存じのとおり私は日本の財政破綻(もしくはハイパーインフレ)は不可避だと思っている。そのときのために高齢者は保険として米ドルを中心とした外貨建て資産を買ったほうがよいと申し上げている。これもご存じのとおりだ。

 一方、若者には「英語を勉強しておけ」と言いたい。少なくとも私が授業をしている一橋大の学生には、そう言っている。海外で働く気概がない若者が増えていることを識者は「日本男子が草食化した」せいだという。私に言わせると円高のせいだ。米国企業で、年俸5万ドルで働くと、1ドル=90円のいまでは450万円にしかならない。日系企業で働くのとそうは変わらないのなら、苦労するのが嫌なのもわかる。しかし、1ドル=300円になれば年俸5万ドルは1500万円である。3年も米国で働けば、日本に帰ってきて家が建つ。大幅円安になれば英語ができる人は強い。

 それは1997年に通貨危機で地獄を見た韓国でよく言われたことでもある。まだまだ高い円を利用して留学するなどして、英語能力を磨く努力が大切だ。新学期が始まったことでもあり、ぜひ英語学習の決意を見せてほしい。

週刊朝日 2013年4月19日号

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藤巻健史

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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