体や美容に良く、料理の使い道も幅広い海藻。料理研究家の柳谷晃子氏は海藻の効果について次のように説明する。

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 日本の近海には1千種類以上の海藻が生息しています。その効能は古くから知られ、高血圧や動脈硬化、心臓疾患によるむくみなどの治療に用いられてきました。明治期に書かれた『薬の民俗学』には「真昆布、薄毛が毛深になり、赤毛は漆黒になる」とあります。実際、私の料理教室の60代の女性の生徒さんは、利尻昆布をよく取り入れるようになってから、細かった髪がしっかりして艶やかになってきた、と話しています。

 海藻と海草は、いずれも「かいそう」と読みますが、「藻」は花や実を付けず、どの部分も同じ栄養があるもの。「草」はアマモのような植物で、花をつけ、食用にはなりません。

 わかめを漢字で「若芽」とか「若女」「若布」と書くことがあります。肌の艶を保って老化を防ぐ作用や、美容効果があることが古来認められてきたからです。

 近年の栄養学でも、海藻類には、カルシウム、マグネシウムといったミネラル、ビタミン類、食物繊維が豊富で、肥満の予防に役立つことが知られています。海草類に含まれる脂肪酸「アラキドン酸」は、脳の神経細胞の生成に役立つとされています。一日の始まりにわかめの味噌汁をいただくのは、脳のためにとても良いことなんですね。

 さらに、昆布には、動物性の匂いを消す力があります。私はコンソメスープの牛肉臭を消すために昆布を入れています。イタリアンのボンゴレなどシンプルなパスタには、茹で汁の代わりに昆布水を使うと、旨味がグッと増します。

週刊朝日 2013年4月5日号