東大前期に続き、後期の合格者が発表された。今年は、県立浦和(埼玉)や北野(大阪)、西(東京)など、公立伝統校が大きな存在感を示した。しかし、公立名門校の魅力は、進学実績だけではないようだ。

 公立王国・愛知県の中でも岡崎は今年、東大に32人、京大に19人の合格者を出した。進路指導主事の藤原波一教諭は、「受験指導だけにとらわれず、ときには大学レベルの質の高い授業をしています。生徒たちは興味を持つと生き生きして、授業が終わっても、黒板の周りに集まって議論していることもありますよ。部活も文化祭もとても熱心です。仲間と話し合い、ときには対立することで心は磨かれる。そうした子が大学に行っても伸びるのだと思います」。

 東大11人、京大27人と両大に多くの合格者を出した岐阜(岐阜)も、文武両道の校風だという。「自立と自律を重んじ、部活動もとても盛んです。校訓は『百折不撓(ひゃくせつふとう)』。何度失敗しても立ち上がる強い心を持ってほしい、君たちは将来は日本のリーダーにならないといかん、と常に語りかけています」(進路指導部長・谷口正明教諭)。

『「子供のために」を疑う10代の子供を伸ばす7つの知恵』(朝日新書)の著書がある二神能基(ふたがみのうき)氏はこう語る。

「少子化で子供の絶対数が減る中、東大や京大は、もはや特殊な進学校で猛勉強をしないと入れない大学ではなくなってきています。公立で普通に学校生活を過ごし東大に行く、そんな流れはこれから加速すると思う。多感な時期に、幅広くいろいろな人がいる学校に通い、地域の中で育つことで人間関係力が身につく。いい意味で普通の子たちが入ってくると、東大や京大にも新しい可能性が生まれてくると思います」

週刊朝日 2013年4月5日号