昨年11月に発表した、最新鋭の「イグゾー」を使った32型の業務用モニター (c)朝日新聞社 @@写禁
昨年11月に発表した、最新鋭の「イグゾー」を使った32型の業務用モニター (c)朝日新聞社 @@写禁

 韓国・サムスン電子との“電撃提携”は業界のみならず、シャープ社内にも衝撃をもたらした。いくら経営再建中とはいえ、長年のライバル社と手を結んだからだ。サムスンのメリットは何か。

「季節などによって需要の変動の大きいテレビ用パネルを自前で生産するのはリスクを伴いますが、一定の自社生産に加え、シャープから購入し、調整することでリスクを抑えられます」(SMBC日興証券の白石幸毅シニアアナリスト)

 とはいえ、すでにサムスンはシャープから薄型テレビ用パネルの一部を買っている。シャープのパネルがもっと欲しいのであれば、これまでの取引関係を拡大すればいいだけではないのか。なぜ、出資までする必要があったのだろうか。

「シャープが得意とする液晶パネルの技術を手に入れたい。できれば製造工程も垣間見たいという思惑があるのではないでしょうか」(同)

 サムスンが特に関心を持っているのが、高精細で消費電力が少ない液晶の技術「IGZO(イグゾー)」だとされる。シャープが誇る先端技術で、今後のスマホやタブレット端末の性能を大きく左右するものだ。

「今後の携帯端末は5~6インチくらいで、いまのタブレットとスマホの中間くらいの大きさに収斂(しゅうれん)され、家庭内でのリモコン代わりの機能も持つようになると考えています」(信州大学の真壁昭夫教授)

 そのキーとなる技術がイグゾーというわけだ。

週刊朝日 2013年4月5日号