仙台市出身で、冨澤たけしさんと漫才コンビ「サンドウィッチマン」を組む伊達みきおさんは、自身でオタクと言うほど伊達政宗が好きだという。なかなか復興の進まない被災地についてこう語る。

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 父親や祖父から「お前は伊達家の末裔(まつえい)なのだから、政宗公の本をよく読むように」と子ども時代からよく言われました。家系図を見せられたわけでもなく、父親の話では、伊達家の分家で宮城県南にあった坂元城主の大條道徳(おおえだみちのり)氏の嫡流(ちゃくりゅう)で、明治時代に伊達姓に復姓しました。

 実は僕は、あるときに占師から「あなたには政宗がついている。生まれ変わりかも」と言われました。たしかに僕の誕生日は9月5日。政宗の生まれも同じ日です。

 2年前の東日本大震災のときは気仙沼の海岸近くでロケ中でした。仙台市内では2日前にも震度5弱の地震があった。揺れはおさまったが、目の前は海。気仙沼漁港から「津波の恐れがありますので、できるだけ早く高台に逃げてください」と何回もサイレンが鳴りました。番組スタッフから「安波(あんば)山に逃げましょう」と言われて、中腹の駐車場まで300メートル駆け上がりました。

 津波はあっというまにきて、車が流されたり、家屋や人が流されるのを高台から目の前で見ました。恐ろしかったですね。東京にいた妻や仙台の両親から「気仙沼やろ、大丈夫か」とすぐに連絡が入りました。

 はっきり言って震災の復興が遅れています。僕らの笑いで少しでも地元に元気を与えたいし、あの大震災を風化させたくないですね。

週刊朝日 2013年3月29日号