グラビアアイドルとして一世を風靡し、現在は個性派女優として活躍する小池栄子。

 そんな彼女の小学校の卒業アルバムに書いた将来の夢は、“人気のあるお笑い芸人になること”。「楽しみながら仕事をして、それで暮らしていけるなんて……」と、幼心に羨望のような憧憬のような思いを抱いた。それから20年。バラエティーから芝居へと表現のジャンルこそ違えど、楽しみながら仕事をする状況に、身を置くことができている。

「子供の頃は、バラエティーの仕事が楽しそうに見えただけじゃなく、ラクそうだなとも思っていたんです。表に見える部分しか追っていなかったから。今になってお笑いの人たちの陰の苦労を目の当たりにすると、自分の認識の甘さを思い知らされて、反省します」

 芝居の現場では、どんなに大変な状況に置かれても、“つらい”とか“やめたい”と思うことがなかった。むしろ、役のことで悩めるのは幸せだ、とまで感じるそうだ。

「自分が女優に向いていると思ったことはないけど、ウチの旦那さんには言われたことがあります。『そこまで役と向かい合って悩めるのは、向いてるってことじゃない?』って。私、キツい性格の女性を演じることが多かったので、私生活でも役柄のように塞ぎ込んだりするようなことがあったんですよ。外には出さないぶん、家の人は大変だろうなと思います(苦笑い)」

 いろんな役を通して、いろんな人生を体験し、「自分がいかに不完全な人間かということを思い知らされるのが、役者の醍醐味かもしれない」と話す。

「お陰で、最近は嫌いな人がいなくなりました(笑い)。苦手なタイプの人でも、教えられることは絶対にあると思って、逃げずに興味を抱いたり。自分の中になかった感情が、役を通して生まれてくることも面白いです」

週刊朝日 2013年3月29日号