かつて、1学年の生徒数が5人にまで落ち込むという危機に直面した女子校を改革し立て直したカリスマ校長がいる。それは品川女子学院の漆紫穂子校長だ。長年培った女の子教育のノウハウの中で、子どもに届く叱り方とはいったい何なのか。そして、「やる気スイッチ」をオンにするコツは? 漆校長に聞いた。

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 子どもの好きなことが親の気に入らないことだと、あまり応援しないケースが多いんです。だけど、子どもは好きなことで認めてもらうと、親の話もよく聞くようになるんですね。親と子どもの意識がズレていて、「うちの子、言うこと聞かない」と言う親御さんに限って、子どもに聞くと「うちの親、話を聞いてくれない」って言うんですよ。生徒に「親の一言でやる気になることある?」って聞くと、1位が「ない」なんですよね。

 いちばんやる気をなくす言葉が「早くしなさい」。次が「勉強しなさい」。それから「○○禁止」。命令と禁止はやる気をなくさせるんですね。あとは比較。「お姉ちゃんは○○なのに」「友達は○○なのに」って。

 言う前に親がまず聞くとか、自分がしてほしいことをさせる前に、子どもがしていることをよく見ていてあげるとか、先にちょっとアクションを起こすと、子どものやる気スイッチがオンになるんですけどね。

週刊朝日 2013年3月22日号