気胸とは、肺に穴が開き、胸の中に空気が漏れている状態をいう。最近だとお笑いコンビ「ナインティナイン」の矢部浩之さんがかかったことでも知られる。治療の中心は胸腔鏡による手術だが、再発の可能性もある。

 軽度の気胸であれば、安静にしているうちに穴は塞がる。また、ドレーンという管を入れて、漏れている空気を外に排出する「胸腔ドレナージ」という方法をとることもある。胸のわきに貼り付ける携帯型のドレナージキットを使えば、入院せずに治療することも可能だ。

 これらの保存療法を行い、1週間たっても空気の漏れが止まらない場合は手術となる。しかし、たとえ保存療法で空気の漏れが止まっても、気胸は再発しやすい。日本大学板橋病院呼吸器外科部長・准教授の大森一光医師は「保存療法では30~50%は再発する」と言う。再発を防ぐためにも、手術で根治治療をすることがすすめられる。

 手術は、かつては開胸が主流だったが、最近はほとんどが胸腔鏡下手術だ。1~2センチほどの開口部2カ所から内視鏡や器具を挿入し嚢胞(のうほう)部分を切除する手術で、からだへの負担が少なくてすむ。

「ただ、胸腔鏡下手術でも、再発率は10%ほどあるため、さらに『カバーリング』という手法で再発を防止します」(大森医師)

 再発の多くは、最初の嚢胞の近くに新たな嚢胞ができるというものだ。カバーリングは嚢胞が再発しやすい切除部分を中心に、シート状の被覆剤を貼り付けて肺を覆う方法で、肺を補強して破れにくくする。

 カバーリングを施せば、術後の再発率は3%以下に抑えられるという。

週刊朝日 2013年3月22日号