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 3月10日は東大の前期の合格発表。だが、苦労して入学しても、社会に出て、「東大卒なのに使えない」と言われ、ぱっとしない人生を送る人もいる。合格を人生のピークにしないためにどうしたらいいのか。社会に出てから伸びるタイプにも、共通点がある。伸びる人は、在学中に学びたいことややりたいこと、卒業後になりたい職業などのイメージを明確に持っているという。東大受験専門塾・鉄緑会講師の吉村秀和氏はこう話す。

「いまの時代、官僚はたたかれるし、弁護士になっても食えないこともある。大企業だってつぶれることは十分あり得ます。東大を卒業しても安泰じゃないということは、高校生だって分かっている。それでもなお、大変な勉強をして東大を目指そうという優秀な生徒の多くは、自分なりに目標を持って、東大を『通過点』ととらえているんです」

 社会に出て「使えない東大卒」にならないために、必要な力とはなんだろう。『東大の大罪』(朝日新書)などの著書がある精神科医の和田秀樹氏は、こう説明する。

「ぼくはよく『コンテンツ学力』と『ノウハウ学力』と言うのですが、世界史の年号や二次関数などの『コンテンツ』そのものは社会に出て役立つことは比較的少ない。けれども記憶力や、計画力、計画に沿って勉強をこなす実行力、過去問を分析して、どういう対策をするかを決めていく情報処理能力などの『ノウハウ』は、社会に出てからも役に立ちます。だから、3年間死ぬ思いで勉強した人のほうがコンテンツ学力は高いだろうけど、社会に出て使えるのはノウハウ学力。知識量が足りなかったり、苦手科目があったりするにもかかわらず、受かることのできる能力としての『ノウハウ学力』のほうが社会では生きるのです」

週刊朝日 2013年3月22日号