自然破壊にみる政府の「不思議な理屈」を池田教授が指摘 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

自然破壊にみる政府の「不思議な理屈」を池田教授が指摘

このエントリーをはてなブックマークに追加

 早稲田大学教授で、生物学者の池田清彦氏は、自宅の庭に来る野鳥の数が減っていることを憂いている。そしてその理由について、ニホンミツバチの研究家の主張を紹介している。

*  *  *
 10年程前まではもっと沢山の野鳥が庭に来ていた気がする。ヤマガラやコゲラ、オナガなどは最近とんと見かけない。虫も少なくなった。ここ2年くらいは特に大型のアゲハ類が少ない。カラスアゲハやジャコウアゲハはもとより、最普通種だったグロアゲハもナミアゲハも余り見なくなった。晩夏になると川沿いの道路上を行ったり来たり悠然と飛んでいたオニヤンマも、見かければ僥倖と思えるほどになった。日本の自然が疲弊しつつあるのではないかと心配になる。

 最近亡くなられた二ホンミツバチの研究家久志(ひさし)富士男さんによれば、ネオニコチノイド系の農薬が昆虫減少の最大の原因だという。絶筆となった『虫がいない 鳥がいない ミツバチの目で見た農薬問題』(久志富士男・水野玲子著、高文研)には、この農薬がいかにすさまじく日本の自然を破壊していったかが生々しく描かれている。

 去年、米科学誌「サイエンス」にネオニコチノイド系農薬がミツバチの帰巣能力を阻害するとの論文が出て、久志さんの年来の主張が裏付けられた。1998年に150トンだった国内の出荷量は2007年には400トンに達し、以後その状態が続いている。強い農薬は1回撒けば良いので、農家にとっては便利だが、昆虫にとっては大量殺戮兵器なのだ。環境省はアマチュアの昆虫採集禁止には熱心だが、農薬禁止には及び腰だ。農水省の利権だからかな。鳥も虫も採るのはいけないけれど殺してよいというのは不思議な理屈だ。

週刊朝日 2013年3月15日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい