結婚に関する研究も多い心理学者の小倉千加子さんは、かつて「結婚とはカネとカオの交換である」と言った。つまり、男にカネがあれば、美しい女と結婚することも可能だということだ。しかし、昨今この状況が変化しているという。

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 中学・高校の時にスクールカーストで「下」にいる者は、「人気のヒエラルキーの低い者」である。成績はほとんど関係がない。「外見を気にしない」「異性とコミュニケーションがとれない」「笑いがとれない」「友だちがいない」「オタク趣味がある」という人が「下」にいる。

 そして、「下」にいる者はそのカースト地位を上昇させることはほとんど不可能である。大学に進学したからといって、そこで「上」に行ける確率は低いと考えなければならない (大学自体、同じような地位にいた者が集まる場所である)。

 社会人になる際も同じである。大手の会社に正規採用される基準では、「外見を気にする」「異性とのコミュニケーション能力がある」「ユーモアを解する」「友だちが多い」というようなことは「成績がいい」と同じぐらい(あるいはもっと)重要視されているからである。スクールカーストにおいて「下」だった者は正規社員になることが難しい。

 ということは、カネがない男性はカネがないから結婚できないのではないということなのである。

「男の子は思春期の頃には別にモテなくてもいい」と言う大人がいる。しかし、現役の中高生は「勉強ができて、そのことで将来いい会社に入って安定した収入が手に入れば結婚できるというのは神話である」と見抜いている。

「下」の者はず~っと「下」にいるのだから、就職の内定が取れないからといって闇雲に就職活動を続けるのは「身の程知らず」である。「上」の者が、つまり美的な者が上の階級に引き上げられることが多いのは結婚でも就職でも同じである。

 ここでいう美的というのは生まれつきの容貌を指すものではない。美的であることは男子にとっても本人の能力と努力によって決まるものなのである。結婚は経済学の次元から美学の次元に突入してしまった。

週刊朝日 2013年3月8日号