昨年12月の衆院選以降、日本株ばかりが注目されているが、米国株もがんばっている。この3カ月余りで1割以上上がり、史上最高値(1万4198.10ドル)も目前に迫る。

 政権2期目の課題は、この回復を止めないこと。三菱東京UFJ銀行の寺澤英光・ワシントン駐在員事務所所長は、2期目の政策を「二つの革命、ひとつの改革」と名づけた。

 二つの革命とは、中間層の最低賃金を大幅に引き上げる「オバマ革命」に加えて、「シェールガス革命」を指す。シェールガスは、硬い岩盤層に埋まって採掘が難しかった天然ガスだ。新たな技術の開発によって安く掘り出せるようになった。オバマ政権は、この後押しを掲げる。米国内で生産が増えれば新たな職場が生まれ、日本が求める輸出でも稼げる。エネルギーの中東依存度が下がれば、軍事費を削れるかもしれない。いいことずくめだ。

 そして、ひとつの改革は、財政再建だ。政府が景気回復に多額のお金を使ってきたことで、財政赤字がかさんでしまった。このままでは3月に政府支出の一部が自動的に削られてしまう。赤字をどう減らすか、与野党が激しく火花を散らす。

 財政再建の見通しついて、詳しくは本誌を見ていただきたいが、この「二つの革命、ひとつの改革」がうまくいけば、米国は、「とてつもなく強い国」(寺澤所長)になるという。

週刊朝日 2013年3月8日号