及川眠子(ねこ=53)という女性作詞家をご存知だろうか。

 1989年に日本レコード大賞を受賞したWinkの「淋しい熱帯魚」や、やしきたかじんの「東京」など、数々の大ヒット曲の作詞を手がけた。特に、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」は、2011年に著作物使用料の大きい作品に贈られる「JASRAC賞」の金賞を受賞。ご本人も著書『夢の印税生活者作詞家になって年収を200倍にする!!』(講談社)を出すなど、自他ともに認める超売れっ子作詞家である。

 そんな及川さんに、ちょっとしたトラブルが持ち上がった。なんと、あのトルコの世界遺産「カッパドキア」の一部を壊してしまったというのだ。

 及川さんは、11年にトルコ人の男性と結婚。数年前から、トルコと日本を往復する日々を送っている。カッパドキアといえば、神秘的な形をした奇岩群が連なる景勝地で、古代ローマ時代にできたという洞窟都市を含めて世界遺産に登録されている。及川さんはこの洞窟を購入し、現在、ホテルに改装しようと建設工事中だというのだが、問題はその過程で起きた。昨年12月1日、自身のフェイスブックにこう書いている。

 〈通常は、現物をありのままに利用して建築しなければいけないのだけど(セメントの使用などもダメ)、こんなんじゃ部屋に光が入らないだよぉ~、入口が狭すぎるだよぉ~、安ホテルみたいになってイヤだよぉ~、とひじょーに景気よく、現場監督と一緒になってドカドカ壊してしまった〉

 さすがに、それはマズいでしょ……。案の定、現地の裁判所や軍隊から呼び出しを受け、及川さんのトルコ人の夫も〈一時期は刑務所行きか?〉という事態にまでなったという。この件について、ご本人に電話で直撃したところ、

「フェイスブックの日記はちょっと脚色していて、実際はトルコの法律に沿って建築しています。一部を誤って壊してしまって呼び出されたのは事実ですが、あくまで過失の範囲内。当局にちゃんと説明して、理解してもらっています」

週刊朝日 2013年3月8日号