2009年の衆院選で当確の花をつける鳩山由紀夫、小沢一郎両氏 (c)朝日新聞社 @@写禁
2009年の衆院選で当確の花をつける鳩山由紀夫、小沢一郎両氏 (c)朝日新聞社 @@写禁

 迷走を重ねた民主党政権を実務家として支えてきた仙谷由人元官房長官(67)。昨年の衆院選で民主党は惨敗、仙谷氏自身もあえなく落選したが、今後の民主党について理念の改革が必要だと、ジャーナリスト・田原総一朗氏との対談で主張した。

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仙谷:民主党はもう一度、党としてのアイデンティティーを確立しなければなりません。党の基本理念や立ち位置を定める綱領はまとめましたが、まだ十分とは言えない。日本はどんな国であるべきなのか。中国、韓国、北朝鮮、ASEAN、そしてアメリカとどういう立場で外交を進めていくのか。明確に再定義する必要があります。その上で、世界各国が抱える共通の課題である経済成長と格差のバランスをどうとっていくのか。端的に言えば、民間に国内雇用をどうやってつくり出してもらうのか。そこからこぼれる人をどう再起させるのか。そのために政治がやるべきことは何かを考え、ある種のイデオロギーや理念に基づいた政策提起をしていく必要があると思います。

田原:例えばアメリカは、共和党と民主党による二大政党制です。共和党は「小さな政府」志向で自由競争を重視し、民主党は格差是正を重視して、貧しい人への手当てもする。非常に違いがわかりやすいんですが、日本の民主党はどういう立場をとるんですか。

仙谷:自民党的な保守にも、かつての社会党的な社会民主主義にも限界が来ているのは明らかです。民主党は、保守でもリベラルでもない「第三の道」を模索しないといけないでしょう。

田原:それは修正資本主義ですか。

仙谷:行き過ぎた資本主義の修正だけじゃありません。企業が人を雇うインセンティブ(動機付け)を設定したり、業績のいい企業が雇用を拡大したりするような政策を推し進めなければなりません。そうした政策を、人と人が分かち合い、支え合うことこそが正義だという論理にどう結びつけるかが鍵でしょう。

週刊朝日 2013年3月8日号