安倍晋三首相(58)は2月14日、党政治制度改革実行本部(逢沢一郎本部長)がまとめた自民党の「脱派閥」「世襲抑制」などを柱とする党改革答申を受け、石破茂幹事長(56)に「速やかに進めてほしい」と指示した。しかし、自民党の最大派閥・町村派に所属する中堅議員が言う。

「人が3人いれば2対1に分かれるので、派閥はなくなりませんよ。昨年末の組閣前、希望ポストのアンケート用紙が2枚、僕たちの元へ届きました。先に来たのは幹事長室からで、2日ほど後に派閥からも来た。用紙には大臣、副大臣、政務官、委員会、党の役職など第3希望まで書いていい。安倍さんは、閣僚人事では派閥の推薦を受けつけなかったが、それ以下のポストは派閥に目を配り、調整したと聞いています」

 元気なのは旧来の派閥だけではない。無派閥議員らが参加するグループや勉強会も結束を強めている。その最大勢力は、超党派議連「創生『日本』」だ。保守系の議員が集う政策勉強会で、メンバーには無派閥の議員も多い。昨年の総裁選では安倍応援団の中心となり、現在でも安倍首相自身が会長を務めている。所属議員が言う。

「安倍さんにもう一回、首相をやってほしくて、支持母体になりました。事実上の安倍派。“裏派閥”ですよ。メンバーからは麻生太郎副総理(72)、菅義偉官房長官、下村博文文部科学相、山本一太沖縄・北方相、小野寺五典防衛相、新藤義孝総務相、稲田朋美行革相らが入閣。党役員人事でも高市早苗政調会長らが抜擢された。(安倍首相の出身派閥)町村派と合わせるとすごい勢力。安倍さんの一人勝ちですよ」

週刊朝日 2013年3月8日号