藤巻健史氏 「いま日銀総裁になると、歴史的汚名も…」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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藤巻健史氏 「いま日銀総裁になると、歴史的汚名も…」

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

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 白川方明・日銀総裁が任期途中での辞任を表明し、次期総裁選びがいっそう熱を帯びている。かつて市場参加者に「日銀総裁に適任」と評価された投資助言会社「フジマキ・ジャパン」代表の藤巻健史氏は「当時は名誉なことだったが、時代は変わった」と指摘する。

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 いま歴史に残る汚名を着せられる可能性も強い日銀総裁になりたい人がいるのだろうか? 仕事はきつく、リスクも大きい。まずは、総裁が政府の言いなりになったがゆえに、モチベーションが落ちるところまで落ちこんでいる日銀行員のセントラルバンカーとしての誇りを回復させねばならない。

 就任直後、市場からの洗礼も極めて恐ろしい。過剰なる金融緩和を期待しまくっている以上、生半可な政策では市場が反乱を起こすだろう。いままでの期待感がすべて剥げ落ちてしまう状況になれば「針のむしろ」だろう。

 そうかと言って過剰な量的緩和をしても、政府要求の「2%のインフレターゲット(物価目標)達成」は難しい。1980年代後半のバブル期でさえも消費者物価指数は1%ほどの上昇でしかなかったからだ。焦ってさらに過激にすれば、待っているのはハイパーインフレだ。「戦争などの異常事態でしか起きたことがない」と言う識者もいるが、大規模に量的緩和などした例は世界中でもかつてない。異常事態もいいところなのだ。

 政府の言いなりになった結果、ハイパーインフレを引き起こし、国民生活がどん底に陥れば、「最悪の総裁」として歴史に名を残す。

 私が十数年前から主張し、そして馬鹿にされ続けたマイナス金利政策だけが、一筋の光明だと思う。しかし、ここまで財政赤字が大きくなったいまとなっては、それも半分賭けだ。そんな賭けをする胆力のある人なぞ、いないだろう。日銀総裁は、金融業界の憧れの職業から恐怖の職業に変わってしまったようだ。

週刊朝日 2013年3月1日号


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藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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