風営法では、クラブの営業時間は午前0時または1時までしかできず、閉店に追い込まれる店も相次いでいる (c)朝日新聞社 @@写禁
風営法では、クラブの営業時間は午前0時または1時までしかできず、閉店に追い込まれる店も相次いでいる (c)朝日新聞社 @@写禁

 企業や金融界に網の目のように張り巡らされた日本の規制。ニュースキャスターの辛坊治郎氏は「急速なグローバル化の中、国内の産業構造を支えた各種の規制は、やがて日本の発展を妨げる『負の呪文』と化していった」と言うが、さらにその影響は文化にも及んでいると警鐘を鳴らす。

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 ここ数年、大都市の盛り場では、客にダンスをさせる「クラブ」と警察の間で、ひそかなバトルが繰り広げられてきた。欧米では、ヒップホップダンスと切っても切れない関係にあるDJに1億円プレーヤーが続々誕生し、新たな街づくりの核、若者の文化としての「クラブ」が世界的な注目を集めている。日本の中学校で、この種のダンスが必修となったのも世界のトレンドを映したものだ。

 ところが日本では、このダンスを無許可で客に踊らせると、経営者が逮捕されるのだ。先進国でこんな話は聞いたことがない。

 実はこの問題に関して、昨年末、警察庁は新たな解釈を示した。それによると、今後、客に飲食を伴う営業を行う場所でヒップホップダンスをさせるのは風俗営業法の規制の対象にするが、飲食のない場合は、対象にしないという見解を明らかにした。

 一方で、「男女間の享楽的な雰囲気が過度にわたる可能性」のある社交ダンスなどは、今でも風営法の対象となっていて、公民館や集会所で「社交ダンスパーティー」を開くと、突然、警察官が雪崩れ込んできて開催者が逮捕されるという事態も十分ありうる話なのだ。

 いったいどこの宗教国家か。

(週刊朝日2013年2月22日号「甘辛ジャーナル」からの抜粋)

週刊朝日 2013年2月22日号