車間距離が縮まりすぎたり、ブレーキとアクセルを踏み間違えそうになったり。運転していて、ひやっとした経験がある人は多いだろう。そこに登場したのが、衝突防止の機能を備えた「ぶつからないクルマ」だ。カメラや赤外線、さらには超音波を駆使しているという。

 記者がハンドルを握ったのは、スウェーデン・ボルボのワゴン「V60」。約50メートル離れた路上の「ボブ」と名付けられた人形めがけて、アクセルペダルを踏み込んだ。車は、時速約30キロで人形に近づいたが、警告音とともに急ブレーキ。反動で体を前にもっていかれたものの、車は人形の約1メートル手前でぴたりと止まった。

「実際、ぶつかりませんよ」。モータージャーナリストの岡崎五朗氏は、衝突防止システムの技術向上に太鼓判を押す。

 ボルボは、2020年までに死亡あるいは重大事故をゼロにする「ビジョン2020」という計画を発表している。「事故防止技術は、ボルボだけでなく各社が力を入れています。発生をゼロにできるかはわかりませんが、普及が進めば、重大事故がほとんどなくなることは間違いないでしょう」(岡崎氏)。

 国内の交通事故死者数は12年連続で減少し、昨年は4411人と、1951年の水準にまで減少している。その背景に自動車の安全装備が一役買っているのも確かだ。

週刊朝日 2013年2月8日号