キャンプ直前の1月23日、衝撃のトレードが発表された。日本ハムから糸井嘉男外野手(31)と八木智哉投手(29)が放出され、オリックスの木佐貫洋投手(32)、大引啓次内野手(28)、赤田将吾外野手(32)と交換されるというのだ。

 糸井は「侍ジャパン」を代表する走攻守揃った好選手。日ハムの栗山英樹監督も「球界ナンバー1外野手」と評価していただけに、この“出血”トレードに球界には激震が走った。テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)もツイッターで「ありえん」とコメントしたが、いったい、なぜ?

「日本ハムが損したように見えますが、要は“損して得取れ”ということでしょ。糸井は昨年暮れからメジャー移籍を強く訴えていて、球団は水面下でトレード話を進めていたんです。ポスティングは今後、入札金額が抑制される方向で、球団にとっては、糸井でそれほど儲けられない。だったら、どうせ出ていく糸井を放出して、ショートの金子誠の後釜と、今オフ、メジャーに移籍したセカンドの田中賢介の補強をしようと考えたのでしょう」(スポーツ紙のベテラン記者)

 また糸井の独特なキャラも、影響していたらしい。

「糸井はその変人ぶりから、チーム内で“宇宙人”と呼ばれている。若手がバッティングについて聞くと、『いざとなったら背筋を使え』と答えたそうで(笑い)、何を考えているのかわからないと敬遠されてたようです。優等生で幹部候補生と言われる稲葉篤紀とは対極のアウトローで、それも放出につながった要素でしょう」(スポーツ紙デスク)

 実は、日本ハムは糸井との契約更改交渉の最終局面で、オリックスの了解を得てアップ額を3千万円まで増額し、年俸2億2千万円でサインさせたという情報もある。そのオリックスは、糸井をポスティングでは出さない方針を示している。

「獲ったばかりの選手を出す話をする球団はない。ただ、カネにシビアな親会社だから、50周年を過ぎてポスティングで利益が出ると判断したら、メジャー移籍を認める可能性はありますよ(笑い)」(同前)

週刊朝日 2013年2月8日号