これまで160本もの映画に出演してきた、女優の若尾文子さん(79)。若尾さんは自身の死について考え、現実的な対策をとっているという。がん診療とともに、養生に造詣が深い名医・帯津良一医師(76)との対談で次のように話した。

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 必要以上に恐れたり、悲劇的に考えたりはしないですが、やっぱり怖いですね。直視したくない。でも考えないわけにもいかない。どういう死に方になるのかなって、ひとりになると考えますよね。とても現実的なんですけれど、今、自宅に警報をつけているんです。夜寝るときに警報を入れて寝ますでしょう。朝、解除しておかないと、お手伝いしてくださる人が来たとき警報が鳴ってしまう。私が死んでいたら、その人が警報の音で気付くんだろうなあって。

 でも、できれば、会員になっている病院でなじみの看護師さんと先生に看取られて死にたいですね。

 死後の世界、私はないと思います。先に死んだ人に向こうに行くと会えると言いますけど、どうなんでしょう。私は人間はひとり、向こうに行ってもひとり。そう思ってます。

週刊朝日 2013年2月1日号