アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設で起きた人質事件。危険な紛争地として認識されているが、アルジェリアを「職場」とする日本人がいることも事実だ。今回、惨劇の舞台となった施設は、大手プラント建設会社・日揮(本社・横浜市)が2002年に受注した天然ガス田の開発プロジェクトの一部。邦人も人質となった。

 日本企業は、基本的に社員を危険な状態に置くことはないとされる。

 しかし、やむを得ないこともあるようだ。

 一歩間違えば死と隣り合わせの「職場」となれば、敬遠されるのが自然だろう。会社側はどうするのか。一般には「危険地手当」があるとされる。「表向き『危険地手当』とは明言しませんが、実際には『生活の困難な度合い』に応じて諸手当が積み増される。街から遠い、などの要素に加えて、現地の治安の悪さも考慮に入れられます」(業界関係者)。

 現場の施設で長年働いた経験がある日本人技術者Aさんも、こう内情を明かす。「アルジェリアやリビアは紛争地となり、最高ランク。給料が2~3倍くらいになる会社もある。日本人の契約社員には、月に300万円という人もいた。不自由な生活なので、それくらいないと割に合わない、という感覚です」。

週刊朝日 2013年2月1日号